厚みのあるディープグリーンの葉が幾重にも折り重なり、低く構えたロゼットをつくる姿は、静かな緊張感をはらんだ鎧のよう。葉先はきゅっと細く締まり、褐色から白へと移ろうマージンが鋭い刃のように輪郭を描く。その凛々しさと気品が同居する、堂々としたハイブリッドです。
片親は「笹の雪
A. victoriae-reginae = ヴィクトリア女王アガベ」。その厚く端正な葉に女王譲りの血筋を感じますが、もう一方の親は「ブルーグロウ
A. 'Blue Glow'」や「ロマニー
A. romanii 'Shadow Dancer'」ではなく、「ネバデンシス Agave utahensis var. nevadensis」という意外な組み合わせ。
「フォルモサ Formosa」という名は“台湾”の古い呼び名で、台湾生まれのハイブリッドの象徴的な存在です(もともとポルトガル語で「美しい/形が整った」という意味で、ラテン語にもformosusという同じ意味の単語があるのでこの学名を持つ植物もあります)。