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PUKUBOOK Succulent picture book

CRASSULACEAE Graptopetalum paraguayense

Also Known As JA 朧月 JA パラグアイエンセ JA おぼろ月 JA 石蓮花

MAIN
SUMMER
WINTER
FLOWER
DETAIL

普及率No.1かと思うほど、どこでもよく見かける普及種です。とにかく丈夫で育てやすく、屋外に出しっぱなしどころか地植えで放置しても、夏も冬も難なく過ごしてどんどん増えます(公共の花壇や街路脇の植え込みにも見かけるくらいです)。葉色は薄紫から、オレンジ、グリーン、シルバーグレーと種類がたくさんあるように見えますが、同じ株でも季節によってこのくらい変化します。こんなにも有名で日本だけでなく世界中の多肉植物市場で見かけるセレブリティなんですが「原生地がわからない」というミステリー。たぶん多肉植物世界七不思議の1つ。

  • Difficulty
  • Popularity
  • Rarity
  • Budget
    560JPY
Season TypeSp/Fa
Sun ExposureFull Sun
Hardiness0 / 32℉
Blooming Season Sp Su Fa Wi

Gray display shows general information for Graptopetalum.

Disclaimer & Notice PUKUBOOK is created and operated by an individual as a hobby. Our basic policy prioritizes "fun" over "accuracy," so please be careful when using or reposting content.For more details on our publication policy, click here

FEATURES/ORIGINFeatures/Origin

普及率No.1か!と言っても言い過ぎでないくらい、街やご近所を見て回ると一番よく目にする多肉植物(カゲツ C. ovata には負けるかな…)。白い粉をまとった灰紫のロゼットは、季節や日当たりでオレンジ、グリーン、シルバーグレーへ表情を変え、伸びれば垂れ下がってロゼットのカーテンをつくる。やや高い位置に植えると多肉ガーデンの主役になります。霜や小雪をものともしないほど丈夫で、関東以西なら外に植えっぱなしでOK、葉が1枚ポロッと落ちただけでほぼ100%発根して増える――この「増えすぎて困る」たくましさが、実は次の謎を引き立てます。

[photo 10335 not found] 成長すると垂れ下がりカーテン状に

多肉七不思議? いまだ解明されない「出身地」のミステリー

学名の「パラグアイエンセ」は「パラグアイ原産」という意味。でもこれ、完全な勘違いに由来する名前です。

最初の登場は1904年、ニューヨークの業者フランク・ワインバーグの温室に、「メキシコ産サボテンの荷に紛れたタネ※」からひとりでに生えてきたところから。1907年に学者ローズ氏がワインバーグから5株受け取ったうちの1つに「パラグアイ原産」と書いてあるのを発見。それは5株のうちの「 O. elata 」に添えられたメモだったけどはっきりせず。ローズ氏は疑っていたけど1912年に研究施設Kewに送る時「Paraguay, F. Weinberg, n. 575」と書いちゃう。575は命名前の朧月の見本株のこと。それをみてKewで命名に携わったブラウン氏が「パラグアイエンセ」と名付けた、という経緯っぽい。

※「メキシコ産サボテンに紛れていたタネ」というのはワインバーグ氏が30年後に語った回顧録なのでそれなりの信用度の情報です。

じゃあコイツどこから来たんだ? 意図せず紛れたタネの生みの親なんて、荷物の送り元とかを探せばすぐ見つかりそうじゃないですか。でも全然見つけられなかった。

bernalense が発見された Cerro del Bernal。だだっ広い平原に突如屹立する岩山(ラウイさん、こんなところに探しに行ったの?!)

それが75年の時を経てついにメキシコ・タマウリパス州のベルナル山でようやく野生個体を発見!と業界が騒然(発見者はあのラウイの名になっているラウ氏でフィールドナンバー「Alfred Lau 089」)。が、厳格な判断の末「これじゃない」と。それは葉が小さく黄緑色の別亜種(subsp. bernalense)とされました。結局、その付近をいくら探しても朧月そっくりの株は出てきませんでした。

以来ずっと野生種は見つかっておらず「原産地未明」のままです(本当の自生地は、近くの砂漠の孤立した山頂に眠っているのでは、と推測されている段階)。

これだけ街中にあふれ、葉一枚から無限に増えるのに、本当のふるさとだけが地図に置けない。100年以上経ってるのに「どこにでもあるのに、どこから来たのか分からない」という、なんとも壮大なミステリーです。

ぜひメキシコにお出かけの際は「野生の朧月探索ツアー」に挑戦してみてください。多肉史に名前が残せますよ!

#この話は KIMNACH & MORAN によるベルナレンセの記載論文に詳しく記載されています。

#なお「タネから生まれたんなら自然交雑種じゃないの?(だから野生種は存在しない)」とお考えのあなた、むちゃくちゃ鋭いですが、否定されています。交雑種はふつう遺伝子が安定していないけど、原種は安定している。これは自家受粉したり遺伝子解析でわかることですので。

#仮に野生種らしいものが見つかったとしても、それはニンゲンが増やしたおぼろ月が自然に帰化したものと区別できないんじゃない?と思ったあなたも鋭いですが、これも遺伝子解析すれば区別できると考えられています。

こんなにも丈夫でよく増えるおぼろ月なんだからまさか野生絶滅なんてしているはずがない!(逆に野山を埋め尽くしているんじゃないか)と思うところですが、bernalenseのふるさとがあまりに限定的という事実を聞くと、おぼろ月さん、もしかして住むところを間違えたんじゃありません?(違)

食用できます

「グラパラリーフ®」という名前で八百屋さんに並んだり、レストランで出てきたりするお野菜は、この「グラ」プトペタルム・「パラ」グアインエンセのこと。正確にはこれを品種改良したもので「はりんご」という名前で品種登録されています。さらに台湾では「石蓮花」と呼ばれ、昔から健康食・民間薬として親しまれている――食の文脈が日本と台湾で別々に育った、というのもこの草のしたたかさです。

® グラパラリーフはアグリアシストジャパンの登録商標です。

VARIATIONVariation

ベルナレンセ G. paraguayense ssp.bernalense

おぼろ月の変種「ベルナレンセ」。やや小ぶりで、葉っぱがふっくらしています。

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