ねぇロボタ。ホームセンターに行って「だるま秀麗」があったら買ってきてほしいんだけど。
はいはい。まかしとき。
………
ただいまー。買ってきたで。
な、なんだこりゃーー!?
安かったでー。
○oogleアシスタントや○レクサよりもかしこいロボタさんがなんと「おつかい」を引き受けてくれたのですが、その多肉植物がどんな状態なのかを見分ける能力は無かったようです……。
コイツは「だるま秀麗」で本来はキュッと密につまったまんまる葉っぱがかわいい多肉さんで、こんなに葉っぱがスカスカになったりしません。でも、日当たりが悪い環境に長くいると、光を求めて茎がみょ~んと伸びてきます。これを「徒長」と言います。
※「徒長」はどんな植物にも起こる現象で、もやしやかいわれ大根はそれを積極的に起こしたお野菜です。
ロボタさんが買ってきてくれて気づいたんですが、こういうのが、近所のホームセンターによく置いてあるんですね。ホームセンターの店内は、蛍光灯が煌々と焚かれていて人間には明るく感じますが、多肉植物にとっては洞窟に等しいので、1~2週間置かれるだけでこんな姿になっちゃいます。
#こういうとホームセンターの意識の低さが!とコメントをいただきますが、そのお店では多肉コーナーにはLED育成ライトを焚いていたので、意識もあるしお金も使っているんです。それでも足りないんです。
#まぁ、かく言う僕でさえ何度となくやらかしていますし……。
それ以来、できるだけこういうのを買ってきては、自宅で療養させています。徒長してしまったらどうしたらいいのか? その後どんな変化をし、本来の姿はどんななのかを記録する、長期ドキュメンタリーです。
状態によって4パターンほど対処法があります。それぞれ見ていきます。
最も手軽でオススメの手法です。徒長が比較的軽度の場合は、いきなり強い光に当てます。観葉植物やサボテンではやったらダメ!と言われている手法で、暗いところになれた植物をいきなり強い光に当てると「葉焼け」を起こします。でも、葉焼けるくらいで良いんじゃないかなと(スパルタです)。徒長でヘタった葉っぱはたいていの場合、元に戻りません。戻らないということは結局、生長してその葉っぱが役目を終えるまで待たなきゃいけないってこと。だったら葉焼けしてもええやん。多少葉焼けしても、葉っぱとして養分を作る機能を果たしてくれたほうが回復が早くなる。新芽も最初から陽の光につよい葉っぱを出してくれたほうが二度手間にならない。という考え方です。
上の手法が使えない場合。強い光に当てると茎ごと死んでしまいそうなくらい弱っている場合やサボテンなど一生のキズになってしまうタイプは、半日陰などのマイルドな環境に置いて様子を見ます。ただ、そうした場合も、新しい葉っぱが出てきたらなるべく早く強い光の環境に移してあげます。以降は1と同じです。マイルドな環境はシンプルに生長が遅いのと、後で強い日差しに移したときにせっかく生長した新しい葉っぱが葉焼けしてやり直しになるリスクもあるので、できるだけ早めに1に移行したほうが良さそうです。
徒長対策として本などでよく紹介されている手法です。茎がみょーんと伸びてしまった場合。この茎はもとに戻らないので、カットして仕立て直しをします。ポイントは、①根元にも葉っぱ2枚は残すこと。 ②穂先には葉っぱの下に2~5cmの茎を残すこと(節が2つくらい入る程度)。根元を茎だけにすると、貴重な貯水タンクがゼロになるのと光合成するチカラが弱くなることから、そのまま枯れるリスクが高まるし回復スピードも遅くなります。また、穂先も新しい根っこが出やすいのはカットした断面よりも側面(葉っぱがついていたところ)なので、茎を残さず葉っぱの下ギリギリでカットすると根っこが出にくくなって生長が遅れます。ただ、根元は良いけど、穂先はただでさえ弱っているので回復までに時間がかかるのが難点。
実はこのヒョロヒョロに伸びちゃった場合でも、1の手法が使えます。もちろん茎が焼けて痛々しいダメージになってしまうこともありますが、そのヒョロヒョロと痛々しい茎の先に、強くたくましいロゼットを開いてくれるんです。で、ある程度、元気な穂先ができてからカットして仕立て直す手法です。コチラのほうが、カットした穂先の生長スピードが圧倒的に早いです。根元も十分な期間、しっかりと養分をもらっているので葉っぱがなくても枯れるリスクが軽減されます(もうすでに小さい新芽が出ていることもあります)。仕立て直すまでのみすぼらしい姿の期間が長くなりますが、長い目で見たらこちらの手法のほうがバランス良く生長してくれます。
ん?ということは、結局サボテン以外は「いきなり強光線」でオッケーということ? そう。それが言いたかったんです。
徒長に効く唯一のクスリは「光」です。光の足りない環境では残念ながら多肉を育てることはできません。でも徒長させてしまっても光さえあれば絶対元気になりますので(LEDライトでも良いんです!)、諦めず光を与えつづけてください。その姿はもしかしたら、素直に生長するよりも、よりダイナミックで個性的な、唯一無二の姿になってくれるかもしれません。