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2021.8.6 今から取り寄せて秋に蒔こう!タネから育てる多肉植物「アガベの実生」に挑戦

2021年現在、最も人気のある多肉植物のひとつである「アガベ」。レアな人気種は子苗でも万単位で取引されているのは傍目で見るだけですが、よく見かける普及種でも千円くらいからで決して「安い!」わけではありません。もっと安く始められる方法はないの?めちゃくちゃ小さいコでいいからさ!というあなたにぜひオススメしたいのが「タネから育てる」方法。いわゆる「実生」というヤツです。

はじめての実生

タネから育てる方法を園芸界では「実生(みしょう)」と言います。英語だと一番近い用語は seedling ※。苗を買いに行ってもたまにラベルに「実生」と書いてあったりしますが「タネから育ててますよ。葉挿しやカキコじゃないよ」という意味です。

※ germination(植物生態学用語で「発芽」)か seeding(園芸用語で「種まき」)という単語でググったほうがヒットすることもあります。

多肉植物を買い求めているとよく見かける「実生」と書いてあるラベル。わざわざ書いてあるということは、きっと「高級」とか...

多肉植物のタネはふつうの園芸店に行ってもまず売っていませんが、国内のオンラインショップもありますし、英語に抵抗がなければ(読み書きできなくても大丈夫)海外からカンタンにお取り寄せできます。小さいので国際配送でも配送料は 500~800円くらいです。

そこではすべての多肉植物のタネが手に入るんじゃないかと思うくらいたくさんの種類が流通していますが、そのなかで特にカンタンで初心者にもおすすめなのがアガベです。

アガベ実生の基本

アガベ最小クラス アガベ アテナータのタネ 2mmくらい
アガベ最大クラス アガベ ユタエンシスのタネ 6mmくらい

100年に1度しか咲かないと言われるアガベの花ですが(実際には数十年くらいから)、自然界にはたくさん植わっていて毎年どこかで花を咲かせているので原種に限ればタネ自体はたくさん流通しています(逆にハイブリッドやレアな斑入り種のタネはまず流通していません)。

パッと見アサガオのタネに見えるようなものがアガベのタネ。自然界ではコウモリが食べてバラ撒いているそうで、お腹の中でも消化されないように丈夫なカラに包まれています。

一般的にこういう大きなタネは少し土をかぶせて芽を出すことが多いですが、アガベの発芽に光は関係なくて、埋めても埋めなくても同じように芽が出ます。

発芽に適した温度は20℃~25℃。8月の室内でも発芽した経験はありますが、子苗の育成環境を考えるなら、3月~4月か、9月~10月くらいがベストシーズンです。(なぜ8月にこの記事を書いたのかというと、海外からタネをお取り寄せするのに1ヶ月くらいかかるからです。今から注文するとちょうどベストシーズン!)

用土は殺菌するのであまり神経質になる必要はありません。用土の上層部だけ細粒から小粒の赤玉土を被せておくと発芽の状況が見やすくなるのでオススメです。

発芽させる方法にはいくつかありますが、ポイントはカビを防ぐことと、水切れを起こさないことです。おすすめの2つの手法を紹介していきます。

準備

水を張った受け皿に浸して1週間くらいで「アガベもやし」の完成

どちらの手法でやるにしても、発芽率を高めるには、まずはタネを水に浸して発根させたほうが良いと思っています。

やりかたはカンタン。お皿や受け皿に水を張ってタネを泳がせておくだけです。発芽したときにわかりやすいように暗い色のお皿を使うのがおすすめです。アガベのタネは早ければ2~3日で発芽します。逆に1週間経っても発芽しないようだと、気温などの条件が合ってない可能性が高いです。

発芽しないからといってやり直してうまくいくかはわからないので、そのままずっと発芽するまで継続するか、最初から手持ちのタネの半分ずつ時期をずらして蒔くようにしています。

ちなみに「タネ自体は殺菌しなくていいの?」とツッコまれそうですが、もちろん殺菌したほうが良いです。ただ僕みたいなズボラなタイプは、殺菌するほうが(タネ自体がダメージを負うのか)うまく発芽しないことが多いんです。失敗せずに殺菌する方法がわかったら改めて紹介します……。

密閉ガラス瓶メソッド

密閉ガラス瓶メソッド

場所を取らないのと取り扱いがカンタンなので、数や種類が少ない場合におすすめの方法です。見た目もかわいいのでインテリアにもなります。ざっくり言うと、フタ付きのガラス瓶に土と水を入れて(タネは入れないで!)1分くらい電子レンジで加熱殺菌。十分に冷めたらタネを入れてそのまま数ヶ月放置するだけ。実際にやってみた様子を紹介します。

8月の終わりに蒔いたもの。9月上旬に発芽
翌年の5月。このくらいの大きさになったら植え替え適期

だいたい発芽後半年くらいでいい感じのサイズになります。その間は基本的に放置で大丈夫。ただ、カビが生えたタネは速やかに取り除きたいので、開始後1~2週間ほどはマメに様子を見たほうがいいと思います。

ちなみにカッコつけなので、見た目を揃えたほうがいいと思って百均で新品のガラス瓶を買ってきたりしていますが、使い古しのジャム瓶とかでぜんぜん大丈夫です。

腰水プラポットメソッド

腰水プラポットメソッド(写真中央はアデニウムですが…)

道具がローコストなので数や種類が多い場合におすすめの方法です。見栄えはもう完全に「生産者」(笑)。やり方もカンタンで、いつも使っているプラポットに土を入れて熱湯で殺菌。プラポットを大きなトレイに並べて、タネを蒔いて、プラポットが半分以上浸かるほど水を張って放置します。

トレイに土を入れたプラトレイを用意
熱湯をたっぷりかけてラップして蒸らします

まずは熱湯殺菌。きちんと冷めたのを確認してからタネまきしてください。タネまきしたあとにラップをするかしないかは人によります。我が家では最初に水を変えるまでラップしています。腰水は週に1回は変えるようにして、本葉が出てきたら通常の水やりに切り替えていきます。

9月下旬にタネまき
11月初旬の様子

このときは発芽が遅くてなんでかなと試行錯誤する中で、先の「水に浸して発芽させておく」メソッドに行き着きました。つまり直接タネまきするときは、そのタネが水に浸かるくらい高めの腰水で土をひたひたにしておくくらいが良いということですね。

このふわふわときれいなのがカビ。根っこではありません。キレイですが発見次第取り除きましょう。

カビが発生するリスクはあるので、カビが生えてきたらタネと周辺の土ごと速やかに取り除きます。

1年後の10月

プラポットメソッドのメリットは、限界まで植え替えしなくて大丈夫というのもあります。さすがに1年は放置しすぎ(笑)生長が止まっちゃいますね

おすすめのタネショップ

定番の、あるいはよく利用するタネショップを紹介します。

seed stock
安心安全の国内の多肉植物のタネ専門店。国内なので短納期。シーズンに入ってから注文しても間に合います。発芽報告や実生方法を紹介するLABORATORYも要チェック。アガベで言えば一番揃っていて、数量限定になることが多いけど人気のオテロイも扱っています。

Kohres ケーレス
みんな知っているドイツの多肉植物のタネ専門店。種類が多く、地域変種まで厳密に学名で分類管理されていて信頼も厚いショップ。国内で流通している実生苗の多くはここのタネを利用しているんじゃないかと思います。ロットが大きいのと、ペイパルでの支払い方法がわかりにくいのが難点……。

EXOTIC PLANTS
ランやネイティブプランツからトマトやアサガオまで圧倒的なラインナップが魅力的なショップ。アガベは20種ぐらいで、定番の原種が中心。多肉のついでに日本でまず見たことがない謎の植物をお取り寄せするのが密かな趣味。モンテネグロに拠点があるけどオーストリアから送ってくる不思議さも秘密結社っぽくて好き。

Cactus Store
本場アリゾナ州。サボテンに強い。野草や樹木など幅広いラインナップ。十分な数が入って単価が控えめ。この記事のタネはほとんどここからお取り寄せしたものですが、最近は品種数がかなり少なくなってしまったのが残念。

他にも紹介したいレアショップもありますが、安心安全の取引実績が積み上がるまでは控えておきます(笑)

まとめ

ここで紹介した手法はアロエやアデニウム、パキポディウムなどにもほぼそのまま応用できます。でもやっぱり発芽率やその後の管理のしやすさではアガベが一番カンタンです。

タネは「20粒で500円」みたいな単位で売っているので、うまくいけばひと株あたり25円という圧倒的なコストパフォーマンス。余った株はメルカリで売ってボロ儲け♥なんてことも夢ではありません。ただ、すべてのタネがちゃんと大きく育てるわけでもないし、そもそも、まともなサイズになるのに3~5年はかかりますけどね!

いかつい。とにかくいかつくカッコいい。大きなものは何メートルにもなる、まるでドラゴンのような風貌。花が咲いたら枯れて...

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