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PUKUBOOK Succulent picture book

2024.4.12 全世界のズボラタニラーさんにお届けしたい! エクストリームな「多肉植物の ”超速" 植え替え術」

暖かくなってきた今はまさにちょうど「植え替え」のシーズン。みなさんお手持ちの多肉植物の植え替え作業は進んでいますでしょうか? え? 数があってなかなか手が回らない?! ちょうどよかった。今日はそんなあなたにお届けしたい、我が家で主流になっている「超速植え替え術」をメモっておきます。ご活用いただければ幸いです。

ちなみにこの手法は「多肉植物ならでは」だと思います。花や野菜で真似できるのはサツマイモくらいでしょうか(笑)

一般的な植え替え方法

多肉植物に限らず、植物一般の植え替え方法は概ね以下の通りだと思います。NHKの趣味の園芸でもほぼ毎回、プロの方の指導で、このような手法で植え替え方法を教えてくれますよね。もちろんこれはこれで間違いがない確実な方法なのでまずはマスターしておきたいところです。

1. 植物を鉢から丁寧に抜く
2. 品種によって根鉢を維持するか、適当に崩す
3. 新しいポットに鉢底石を入れる
4. 土を少し入れて均す
5. 苗を置く
6. 周りの隙間に土を入れ込んでいく
7. 途中でトントンしたりソイルスティックや割り箸で隙間を埋める
8. 必要であれば化粧石を被せる

慣れれば5分くらいでサクッとできるかとは思います。

一般的な植え替え方法の最大のボトルネックである「小さな隙間に慎重に土を流し込んでいく」という作業

超速植え替え術

対してエクストリームな植え替え方法がこちら。

1. 植物を鉢からブチッと引き抜くかカットする
2. 新しいポットで土をすくって満タンにする
3. 必要であれば化粧石を被せる
4. 苗を挿す

以上です。速ければ5秒でもできるんじゃないでしょうか?

このような根っこを……
ばっさりカットして……
土をすりきりいっぱい入れた鉢に……
すとんと乗せるだけ。

ポイントと注意点

要するに、根鉢の維持を諦めることで、植え替えの中でもっともめんどくさく時間がかかる「鉢の隙間に土を流し込む」という作業を端折るということです。土は狭い隙間から少しずつ入れるんじゃなく、1回でどかんと入れて、苗は上から挿すだけにする。こうすると鉢に土をいれるのもわざわざスコップを使う必要がなく、鉢で直接土をすくって詰めるという技も編み出せます。グッパイスコップ!

いくつかコツや注意点があります。

リスクが高くなるので貴重な株ではオススメしません

手荒に扱っていることからもわかるように、雑菌にやられるリスク、根付かず枯れたり生長が遅れるリスクは通常の方法より高いです。なので代えが効かない希少種ではこの方法はオススメできません。

根っこはできるだけ残す意識を

今回の目的は「最後に土にスッと挿す」ことだけなので(カット苗にしたいわけじゃない)、スッと挿すのに邪魔にならない程度の根っこはできるだけ残すようにしたほうが良い結果になります。少しでも根っこが残っていると根っこが伸び始めるのが早いので、回復も早くなります。

このように伸びた根を
カットはするがちょっと残す

こんなやり方で大丈夫なの?!

わかります。僕もはじめの頃は「せっかく伸びた根っこをカットしたら生長が遅くなるはず!」と思ってできるだけ根鉢は維持するようにしていました。

根鉢を維持する通常の植え替え方法(右)と、根鉢をカットして挿すだけの超速植え替え方法(左)の比較。確かにカットしたほうがひと回り小さいけど問題なく元気に育っています。

疑問があるなら四の五の言わずにやってみるのがPUKUBOOK流。試しに2通りの方法で植え替えしてみたものがこちらです。たしかに根鉢を維持したほうが大きくなっているようですが、大事なのは根っこをカットした方も問題なく元気に生長しているということ。これだけ労力が軽くてこの程度の差だったら全然ありと思っていただけません?

抜いてみた比較。根鉢を維持したほうが当然根っこの量は多いけど、カットした方も負けないくらい根を伸ばしてたくさんの土を抱えています。

「結局、根鉢を維持したほうが大きくなってるやーん!」というのはこの結果だけを見るとたしかにそうなんですが、今回はまだサンプルが少ないのではっきり断言することはできません(そもそも最初から株の大きさが違ったし、大きさの差が大きく見える鉢を選んで撮影しちゃった感はあります)。引き続きいくつかの事例をご紹介できればと思っています。

プロの方もやっています

そんなやり方、どうせ素人の思いつきなんでしょ!なんて思ってはいけません。実はプロの方も似たようなことをやっています。

例えば羽兼直之先生。「エケベリアの植え替え」と題した動画があるのでぜひ見てみてください(1:14くらいのところから)。根鉢を大胆にバリバリと崩して小さくしています

それと柏屋商店さん。「七福美尼の挿し木生産」というリールのように、土を入れたポットに苗をポンポン置いていく手法は、大量生産するプロならではの超速テクニックなんですね。もちろんこれは植え替えではありませんが、手順や考え方はこれを踏襲させていただいています。

なんでこんなことをしても大丈夫なのか?

ちょっと小難しい話を。植物にとって根っこの役割は大きく2つあって、1つは体を支えること。もう1つは水を吸うこと。多肉植物は乾燥した地域に住んでいるので、1年のうちほとんどの季節で雨が降りません。この雨が降らない季節に根っこの「水を吸う役割」ってまったく要らないんですよね。なので大胆にも多肉植物は乾季に根っこを積極的に枯らします。枯れた根は体を支える役に立ちながらもエネルギーを消費しないので休眠にはもってこい。そして雨季になると枯らした根っこを以前の規模まで再生するために、根っこを爆速で生長させます。

これが植え替えのときに根鉢を根こそぎカットしてしまっても生長を大きく阻害しない理由。これもおそらく多肉植物だけの大きな特徴の1つなんだと思います。

「要らない根を積極的に枯らす」のはハオルチアで特に顕著。植え替え時によく見る朽ちた根っこ(矢印)はそんな理由で棄てられた根なのかも。

まとめ

手順の比較。こうしてみると「超速植え替え術」が何を省略して、どのくらい速くなるのかイメージしやすいかと思いますがいかがでしょうか?

多肉植物に限らず植物系のコンテンツでは「植替え方法」は定番のお題ですが、PUKUBOOKであえてやってこなかったのは、そんなこと改めて言われなくてもどこにでも書いてあるしわかってるでしょ!と思っちゃうからです(もちろん初心者の方もいらっしゃるので丁寧なコンテンツを用意させていただいたほうが良いということはわかっていますが、どうしても後手に回ってしまうんです)。

それよりも知りたいのは、そういう本に書いてないような、エクストリームな方法。プロってどうやってるの? もっと早く効率的なやりかたはないの? 丁寧にやったほうが良いのはわかってるけど、あえてその常識をぶっ壊すような斬新なやり方があったら教えて! と個人的に思っているので、そういう手法を書いてみました。

参考にしていただければ幸いです(笑)

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