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PUKUBOOK Succulent picture book

2023.8.25 正しいクレームの伝え方――ショップ運営しているからわかる良くないクレームと、実際にいい感じの結果になったクレームの実例

今回は多肉植物に限らず、お店、特にネットショップでお買い物をしているとイヤでも出くわす「クレーム」についてのお話。

個人的にはネットショップの利用歴も利用率もとても長くそれこそAmazonなんて出たてのことから使っていますし、過去には大手メーカーさんの直販ネットショップの運営のお手伝いをしていてクレーム対応もやっていました。そして最近になって小さいながらもショップ運営をしていてお客様からの声をダイレクトに(そして全責任で)受けるようになってますます感じたこと。それは、クレームには、良いクレームと悪いクレームがあるということです。

もちろん、悪いクレームでもたいていの場合、要求は通ります。ただその悪いクレームを続けていると、大げさな話、きっと今後の人生を幸せにするか不幸にするかまで大きく左右します。

なので、頭の片隅にとどめておいていただければという思いで筆を執ります。

もしこの記事を読まれた方でお心あたりのある方がいらっしゃったら申し訳ございません。それは単なる偶然であって、特にどなたかを意識してはいません。ただせっかくお心あたりがあるなら、その心に響いていただければなぁという思いで書いています。

大前提

まずそもそもの大前提として、買い物をしたそのお店で、今後も買い物がしたいですか? それとももう今回限りにしたいですか? もし、「今回限りでいい」と思っているなら、この記事は読まずにブラウザバックしてください。そんなお店と交渉するのに特別なテクニックなんて要りません。

メルカリで「とんでも状態」で送り付けてきた出品者から最終的にオマケまでいただいた話

ウワサには聞いていた「とんでも状態」のアガベ(笑)

玉石混交なんでも買えちゃうメルカリですが、決して安くないお値段で、清水の舞台から飛び降りるくらいのつもりで購入した多肉植物が、こんな状態で届いたらみなさんどう思われますか? 「ひどい」 「こんな商品を売りつけてくるなんてとんでもないやつだ」 「お金返して」 「注意喚起でSNSでさらしとこ」 ……いやお気持ちはわかりますけど、ちょっと待って、落ち着いて。それって本当に必要な行為ですか? 正しい態度でしょうか? それで自分は何を得られますか? 出品者はなにか変えようと行動を起こしてくれますか?

僕がこの商品を受け取ったときに出品者に送った取引メッセージは概ね下記のとおりでした(ちなみに購入してから発送連絡があるまで7日経過していました。4~7日で発送とは書いてありましたけどね)。

本日商品が届きました。ただ、お送りさせていただいたお写真のようにすべての株がかなり徒長してしまっています。経験的に1~2週間ほどは箱の中など暗いところに入れっぱなしになっていたのではないかと思ってしまうほどで、購入後すぐに送っていただけると思っていたこともあり期待に沿うものではありませんでした。また梱包状態についても、苗が箱にそのまま入れられていて振ると苗が音を立てて動くような状態です。今回はたまたま大きなダメージがなく届きましたが、場合によっては葉やツメが折れてしまっていたかもしれませんし、人によってはこの梱包状態だけで大きなクレームに繋がりかねません。次回以降は改善していただきたいと思います。

最初のメッセージはこれだけです。「返品したい」も「補償しろ」もありません。状態は酷いけど生きていてリカバリできるので、最悪何もなくてもいいかなぁとは思っていたのもあります。ただこのメッセージの後に出品者様からは「補償として別の商品を追加で送ります」と提案があり、その提案を受諾しました。しかも、その補償を送っていただくまでに双方の認識違いがあってメッセージの応酬になり、メルカリ運営にも入っていただこうかという事態にまで発展しましたが、最終的に無事に送っていただくことができました。根気のいるやり取りに最後までさじを投げずに付き合っていただけたのも、最初の「良いクレーム」のおかげじゃないかと思っています。

ショップを運営しているとどうしても思っちゃう「もう取引したくない」お客様とは

その言葉、面と向かって言えますか?

逆に 「ひどい」 「こんな商品を売りつけてくるなんてとんでもないやつだ」 「お金返して」 というメッセージを送ったらどうなっていたのでしょうか? それはショップを運営していると実際に受けることがあるのでよくわかります。

もちろん本当にショップ側に至らないところがあったのでクレームに繋がっていることは間違いありません。ワタクシは素人なので販売している商品は常にカンペキなものではありませんし、商品説明も不足していて誤解を与えてしまうことも多々あるでしょう。生きた植物を販売していますので注意書きとしては「多少の状態の差異はご理解ください」と書いていますが、どこまでが許容できる差異なのかは人によって違うのでご満足いただけないケースは絶対にあります。だからそういったお申し出には基本的に応えるようにしていますが、同じ申し出であっても、言い方一つで結果が変わります。

「商品は最悪でした。ひどいです。返金してください」みたいに言われたら、ソッコーで返金して速やかにお帰りいただきたくなる気持ち、ご理解いただけますでしょうか? お送りした商品はコストを掛けてでも最もスムーズな方法で返品していただきます。こうしたクレームから読み取れる人物像は、まず我々が提供しているサービスの品質がこの程度になってしまっている事情や運営体制を理解しようとしてもらってないこと、そしてなにより、ご理解いただいていないので今後も満足の行く商品をお届けできない可能性が高いこと。つまりもし次回ご注文を頂いても「きっとご満足いただけないので」とお断りすることになります。

ちなみに、もし同じようなケースで「良いクレーム」を受けた場合、お届けした不良品の返品は要求せず(返品していただかなくても不良品であることは十分に信頼できますし、そもそも返品を受けるのに商品代金くらいのコストがかかっちゃうし)、代金は100%お返しし、さらに次回にご利用いただけるクーポンもつけたりすることもあります。そのくらい対応方法が変わります。だって、「良いクレーム」によってお店のサービスを改善するきっかけになったわけですから(授業料ですね)。それに次回以降も絶対に使ってほしいですから。そして実際にご注文をいただけたなら極上の状態でお届けしようと努力します。

良いクレームとは

この「良いクレーム」の本質はなにか? それは、

- 届いたものが期待に及ばなかった。ということは、「高い期待」があったこと
- 今回は残念だったけど、次はその期待に応えてほしいから改善して欲しいということ

これってお客様がお店に対して、期待と信頼をしていただいているということなんですよね。そして、クレームを申し出てくださっている時点では、それはまだ損なわれていないということ。あなたはこんなもんじゃないでしょ? 次も使いたいし、他の人に対してこれだとあなたの評価が損なわれてもったいないから、がんばって、と。 お店側としては「それは絶対に裏切れない」と身が引き締まります。

逆の立場でいうと、そのくらい真摯なメッセージを送らないと、お店は変わろうとしてくれないということでもあります。人はそもそも頑なな生き物ですし、攻撃的な態度に対しては防御を固めようとするもの。言う側がいかに言われる側のことを思っているかを信頼してもらわないと聞く耳を持ってもらいにくいものです。

ネットショップの利用で心がけたいこと

PUKUBOOK SUCCULENTS ではピックアップから箱詰め発送まですべて人間の手作業で行っております(AIではありません)

ネットショップは出たてのころからずっと長いこと利用していますが、やっぱり一番はその利便性だと思います。スマホでとんとんと数回タップすれば、数日後に欲しい物が届く。この「自動販売機」のような利便性や手軽さは大事だと思っていますし、だからうちのショップを自動販売機のように使っていただくのはむしろ大歓迎です。ただ、実際には多くのネットショップは自動販売機ではなく人間が動かしています。受けた注文を見て、商品をピックアップし、梱包して箱に詰め、宅急便から発送しているのは生きた人間です。感情もあります。キツイ言葉には凹みますし、期待のこもった叱責には感動を覚えます。このことは常に心がけておきたいと思っています。

まとめ

店員の心を掴め!

僕がビジネスとマーケティングでよく勉強させていただいている西野亮廣さんの好きな言葉があります。それは「良いサービスを受けたかったら、いいお客様になれ」というもの。昔からお客様は神様だとか王様だとか言われていて、もちろんお客様のお陰で商売させてもらっているという意味では間違いないのですが、サービス提供者も人間なので本当に神様や王様のような態度のお客様に対しては心から良いサービスをしようという気持ちにならない、逆に「この人にめいっぱい満足してもらおう」という気持ちにさせるのはそのお客様の身分や持ってるお金じゃなくて、そのスタッフがお客様に抱く尊敬や信頼の気持ちだという話ですね。

ここに書いている話は、テーマとしては「正しいクレームとは?」なんですが、根底にある気持ちや態度としては幅広いシーンで応用できると思います。たとえば上司と部下とか、親子とか。親としてついつい我が子の欠点に目が言って「どうしてお前はそんなにダメなんだ。なんとかしろ」と言い放っちゃいがちですが、そこをなんとかぐっとこらえて「ふだんのキミならもっとできていたと思うと哀しい。次は同じ結果にならないようにするにはどうしたらいいか考えよう。なにかできることはないか?」と言うと、期待に応えてくれるような気がしませんか? もちろんふだんから「信頼」を積んでおかないと効果がないかもしれませんが……。

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