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PUKUBOOK Succulent picture book

2022.9.30 鉢の違いで育ち方が変わるの? 通説や理屈なんて後回しで実際やってみたから見てみて!

なんで鉢ってこんなにたくさん種類があるの? どれが「ベスト」なの? そんな単純な質問1つ立ててみても、それぞれに一家言あって何が正解なのか結論は出ません。いろいろ理屈はあるみたいなんですが、ここはひとつ、とりあえずやってみませんか?

免責事項

今回の実験は1回限りの比較試験です。できるだけ鉢の違い以外の諸条件を一定にしようと試みてはいますが、そもそもスタート時点で苗の大きさが違ったり、日当たりや水のあたり具合もいつも同一にするのは困難です(時々ローテーションはしていましたよ!)。たまたまこうなっただけで因果関係がはっきりあるわけではありませんので、1つの参考意見程度にお考えください。

プラ鉢と陶器鉢で生長が早いのはどちらか

まずは、プラ鉢と陶器鉢で何が違うんでしょうか? とりあえず結果を見てみましょう。

陶器鉢とプラ鉢の比較。ぱっと見ではほぼ変わらないけど、プラ鉢のほうが子株が出ていたり葉っぱに厚みがあって充実しています
14ヶ月前(真ん中と右側)

そもそもスタート時点で陶器鉢の苗がちょっと小さかったのでハンデはありますが、子株が出てきたり葉っぱに厚みがあったりと充実しているのはプラ鉢のほう。これは根鉢を見ると違いが明らかで、ぐるぐるよく回っているプラ鉢に比べると、陶器鉢はあまり元気がなくほぐすとすぐに崩れてしまう程度。根っこの総量も感覚的には倍くらい違いがあります。

プラ鉢の根鉢
陶器鉢の根鉢
プラ鉢。前の鉢サイズの根鉢もあるので2重に見えます。
陶器鉢。根の量が明らかに少なくて物足りない感じ。

よく「プラ鉢は薄いので熱を通しやすい」「土があたたまるので根っこがよく育つ」と言われているけど、それが結果として現れたのかなと思います。

白い鉢と黒い鉢はどちらがいいのか

鉢が温まりやすいほうがよく生長するなら、温まりやすい黒ポットのほうが白ポットよりよく生長するのでは? という検証。

結果。鉢植え状態でははっきりと違いがわからないけど、抜いてみたらその根鉢にははっきりと違いが現れました。やっぱり鉢に近い外側は温度変化が激しく、黒ポットの効果が強く現れたようです。もともと黒ポットのほうが株が大きかったのでは?という疑惑もあるため、この2株はこのあと鉢上げしたついでに、白黒を入れ替えて第2ラウンド開始となりました。ご期待ください。

スリムな鉢とワイドな鉢でフォルムが変わるのか

よく、アガベは深く根をはるので細長い鉢が良いとか、細い鉢に植えると縦に積み上がるように細くなると言われるので、それを検証してみた結果。

14ヶ月前(左と右)

この結果だけ見ると「そんなことないよ」と言いたくなります。縦横サイズにかかわらず鉢の容量がそのまま株の大きさに比例している感じで、浅い鉢でも影響なく生長しているように見えます。また、株自体の細さに影響しているようには見えません。個体差?日当たり? 引き続き経過観察。

容量が違うプラ鉢、最適なサイズはどちらか

植え替えするときの鉢のサイズって悩みますよね。どのサイズが適切なのでしょうか?

こちらは歴然な差が付きました。鉢が大きければ大きいほど株も大きくなるようです。もちろん最初からサイズが違ったのでハンデは否めません。ただ、株の大きさは鉢の大きさ以上にならないというのは真実っぽいです。大きく育てたいなら最初から大きな鉢に植えたほうが良さそう(次のMeshpotでさらに深掘りします)。次回はもっと極端に大きな鉢で挑戦してみます。

根周りしないMeshpotはなにが優れているのか

Meshpot

「根周りしない」ことを売りにした、うちでもメインで使っているMeshpot(おすそ分け販売しています!)。その根周りしない実力は本当に本物で、抜いた根鉢は今まで見たことのない、まるで異次元の世界です。けどね、それはわかった、じゃあ根周りしないとどうなるの? 何が良いの?を比べて見るために、同程度の苗を一般的なプラポットにも植え込んで約14ヶ月経過したものがこちら。

14ヶ月前

もともとちょっと小ぶりだったのに、それを追い抜いて結構しっかり充実した株に生長してくれました。

とは言え、サイズ、カタチ、素材を問わず、試してみたものをすべて並べてみるとこんな感じ。

左上から時計回りに、スリム大、Meshpot High 8cm、陶器鉢、スリム小、ワイド、SolidSquare10cm

一言でいうと「鉢の容量に比例」ですね。今のところどの鉢も大きなトラブルは見られず、鉢の容量に準じたサイズに生長しています。これだけでは、Meshpotが特に優れているという感じはしません。

じゃあMeshpotの違いはというと、根鉢を見てみると一目瞭然

Meshpotの根鉢
Meshpotの根鉢を崩したところ。外側は根が絡んでなくて崩しやすく、内部は根の量が多く土を落とすとふわふわ。

Meshpotの根鉢は、すべての根がまっすぐ下に(ときどき上に)向かっていて「縦ストライプ」を描いています。この縦ストライプの根はもちろん絡んでおらず、ちょっと横に開くだけですぐに土がほぐれます。そして、その中の内部の根っこの量が結構充実。また、側面のエアホールの高さで生長が止まっているので長過ぎる根が1本もありません

一般的な鉢の根鉢。外側に沿ってぐるぐる根が回っています。
根が絡んでいて崩しにくく、外側の根は長くて量が多いけど内部の根は少なめ。

一般的なポットは根周りしている外側は根がやたら多いのに中はスカスカ気味です。ちょうどいいサイズで少しずつサイズアップしながら植え替えましょうと言われるのは、いきなり大きな鉢に植えると根が充実せず鉢の中がスカスカになってしまうからではないでしょうか。

おそらく、一般的なポットは根の先端の生長が止まらないのでいつまでもぐるぐると根を伸ばし続けるのに対し、Meshpotだと根の先の生長がエアホールで止められるため、脇の根を伸ばしたり、根本から新しい根を伸ばそうとする、ということじゃないかと思います。

一般的な鉢とMeshpotの根の生長の違い(推定)

1年程度では根詰まりなどの大きな障害は見受けられなかったけど、これが2~3年となってくると大きな違いになりそうです。つまりMeshpotは、最終的に達成したいサイズのポットに最初から植えて、そのまま何年でも植え替えなしで管理できるというのが正しい使い方なのかもしれません。更に言うと、植えたい別の鉢があるとして、それとちょうど同じサイズのMeshpotで何年も管理して内部の根を充実させてから植え替えつけるという応用も考えられそうです。

Meshpot @ PUKUBOOK COLLECTION
Meshpotは中国で企画開発されたプラスチックポットブランド。まず目を引くのが側面に空いた穴「エアホール」でその抜群の通気性と排水性……

まとめ

今回は1年程度しか見ていませんが、世間一般的に色々言われているほどの違いは現れませんでした。結論としては「目指したいサイズの鉢に植えよう」ということくらい。そのくらい「割となんでもいいよ!」というのが重要な結論の1つです。

ただ、1年を超えて植え替えをしないならどうするのか? 理想とするサイズにいち早く到達し長く健康を保つにはどうしたらいいか? と考えるなら、やっぱり鉢の素材やサイズは気にしたほうが良いみたい。

自分の理想の追求。これこそが趣味の世界の醍醐味ですよね!

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