しつこくてスミマセン……(笑)前回に引き続き、今回もコレクション株を愛でる回をやらせていただきたく。だってこんなにもキレイに作り込めたんだから。
いきなりですみませんが、札落ちです……。と言っても、いつのまにか札が無くなってしまっただけで、置いていた位置、植えていた鉢、そしてなによりその草姿からして「嫦娥」で間違いないとは思っています。同時期に管理していた似たコはモンローくらいだし(ラウリンゼが置いてあったら迷ったかもしれない)。
室内管理で上から水をかけたりしていないこともあって、粉が落ちることなく真っ白に輝いています。根元に近い葉っぱがあまりキレイじゃないのは、その頃はまだバキバキにするコツが掴めていない頃の名残ですね。
ずっと調子が出なくてかなり長期間うちにいるレモンジュエルですが、ようやくコツが掴めてバキバキに仕上がってきました。「キミ、シャンペーンのようなウォーターマークが出てくるんだね。」それに気づいてあげられたのは僕だけかもしれません。
かなり長い間うちにいますが、ようやくコツが掴めてきて良い表情を見せてくれるように。鉢が小さいのでギュッとパツンパツンのロゼット。単頭株としては最高クラスの完成度と思っています(欲を言うとここからさらにふたまわり大きい鉢に植え替えて、大きな群生株にしたいところ)。
長期間、上から水をかけることすらしなかったので剥がれた粉が積もっているくらい厚くパウダーに覆われた、史上最高クラスに完成度の高い「メテオライト」。青白く輝いています。
こちらは見本写真にするために1株だけ買ってきて、そのまま日当たりの良い屋外で雨ざらしにされていたコです。シンプルに「1年でこのくらい生長するんだ!」とご理解いただければと思います。
管理半年くらい。あまり変わった感はありませんが、このコは実は「2号」なんですよね。下の「1号」の下から出ていた小株を切って大きくしたもの。もともと1号の半分もないくらいの大きさでした。結構大きくなったなーと感慨深いです。ちなみに上のグランデシンザと全然成長速度が違いますが、基本的にエケベリアは植えた鉢の大きさに合う大きさまでぐんぐん大きくなります。大きくしたければ大きな鉢に植えましょう。
こちらは完成株やコレクション株というわけじゃなく、カット苗が発根して十分開いてキレイになって「キャラが出てきた」のでちゃんと比較できるようになったコたち。こうなってはじめて「この品種はこういう姿をしています」ということが言えるようになるスタート地点と思っています。
海外からお取り寄せする多肉植物は「カット苗」になっています。どれだけハイスピードに届けてもらってもカットしてから2週間くらいは経過しているのでシワシワになっていますし、小さく丸められて箱に詰められてはるばる飛行機で飛んでくるため粉はハゲるしキズだらけ。
カット苗を植え付けると1~2週間くらいで発根し水を吸い始めます。この段階で外葉に少し張りが戻ってきます。
さらに2~4週間くらい経つと新しい葉っぱが展開し古い葉っぱが脇に寄っていきます。
そして半年くらいすると古い葉っぱがすべてなくなって、きれいな葉っぱだけ株が出来上がります。
ふつう、お店に売っているコの多くはこの段階。どの葉っぱにもシワやキズがなく徒長もなく、その品種のキャラクタが良く見えている状態。そりゃもちろん「商品」だったらこのくらいのクオリティは当たり前、ですよね。
でも公式ショップ「PUKUBOOK SUCCULENTS」では最初に出てきた「カット苗」が主力商品です。その品種のキャラが出きってないのはもちろんのこと、それどころかしわくちゃでキズだらけです。一般的なお店(たとえばスーパーとか、あるいは八百屋さんだったとしても)でこんな商品があったらクレームものだしそもそも売れません。
それでも「カット苗」で売っているのは、僕は基本的に「植物は変化するもの」だと考えているから。
販売された今現在の状態がベストであろうとなかろうと、結局自宅の環境に合わせて変わっていくものです。
つまり植物のベストな姿が見たかったら、自分の家の環境をベストにしないといけない。それってなかなかカンタンなことではないので、僕も含めて多くの人が、ピカピカに磨き上げられたベストな株を買って帰って、残念な姿にしてしまうということがあります。100点だったものがだんだん80点、60点……と価値が下がっていくように感じられるのは惜しいなぁと思うんですよね。
それだったら、最初20点で、だんだん40点、60点……と価値が上がっていくように感じられるほうがいい。それが「カット苗」なんですよね。最初はボロボロだけどだんだん見違えるようにきれいになっていく。「キミはこういう顔のコだったんだね」という。僕はこれが楽しくてカット苗をよく育てています。
そしてさらに1~2年。モノによっては3年。「完成株」の定義は人それぞれ、品種によりけりですが、個人的には「十分な年月が経って、その品種が魅せる可能性のある姿を出し切った姿」だと思っています。サイズはもちろん、群生株はポコポコ群生し、パウダーは厚く輝き、花芽を壮大に伸ばし、外葉は枯れ込んで残っているような。「この品種は最終的にこんな姿になります」と自信を持って言えるような。
お取り寄せする品種は1品種あたり5コとか10コといったまとまった数をオーダーする必要がありますが、そのうち1つだけは残して、こんな「完成株」を目指していきたいと思っています。
#それを里子に出すこともありますが、さきほどの話の逆で、これはこれで「今だけ」の姿です。その観賞価値は切り花のようなもので、同じ環境でなければ維持するのは難しいのも事実。.崩れたとしてもめげたりせず、また別の「完成」の姿を目指していただければと思います。「完成の姿」はその環境の数だけあるはずなので。