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PUKUBOOK Succulent picture book

2024.2.16 識別困難?! たった1週間でその姿を劇的に変える「アエオニウム」の特徴の捉え方とその記録

勝手ながらこうして図鑑を編集させていただいているということはもちろん、「この品種はこんな特徴があります」という文章を書くということをひたすら何年もやっていてそこそこの経験になっている感があります。そんな経験がありつつも、実は特にその特徴を捉えるのが難しいのがアエオニウムたち。

「このアエオニウムはこんな色です。葉っぱはこんなカタチです」なんて書いたとしても、それが1週間も経たずに全く違う姿になっている。それもより個性的な姿になってればいいものの、ちょっと前の別の品種と何が違うのかわからない姿になってることもしばしば。

一体何をどう捉えて何を書いたら良いのか?!

そんなアエオニウムの変幻自在ぶりを、そのまんま時系列でまとめて記録として残しておこうというのがこのコラムです。文章なんて書かない。ありのままの事実として写真だけ貼っとけ!というサジ投げページです。

メデューサ

アエオニウム メデューサ
22年12月
23年2月
23年3月
23年4月
23年5月
23年6月

感覚的にではありますが、2023年ごろからアエオニウムの中で最も人気があり注目されている品種がこの「メデューサ A. 'Medusa' 」ではないかと思っています。往年の「サンシモンバイオレット」から「黒法師錦」へと続くメタリックスカーレットな斑入りアエオニウムの変遷で、そのコスパの良さで王の座に就いた実力派。

こうしてみるとその特徴は、ちょっとしたストレスで早めに赤く色づきつつもその明るさは維持、葉幅は広めでしゃもじ型、新葉だけでなく展開したあとのロゼットも中心が緩やかにくぼんだ「お椀型」になる、といったところでしょうか。「基本的に明るい赤のアエオニウム」は間違い無さそうです。

マルディグラ

3月 新しく展開した葉っぱは明るいグリーン
4月 それが日差しで色づいてきて
5月 かなり深い色に染まりました
6月 かと思ったら中心が明るく。葉の外側だけ赤くなって中斑のような雰囲気に

マルディグラ A. 'Mardi Gras' 」は、メデューサよりも以前から流通していて、グリーンルームさんが国内ライセンス生産されているのでホームセンターでも見かける手に入りやすさが嬉しい新品種。最初は「メデューサよりも細い葉っぱ」と思っていたけど、6月の最終形態だとそのカタチはそっくりでわからなくなってきました……

ハロウィン錦

2月上旬
2月中旬。水が少なく日差しの強い窓辺に移動したらストレスカラーに。とは言えなかなか真っ赤にはならずほんのり染まる感じ

色についてはその特徴が捉えやすいのが「ハロウィン錦 A. 'Halloween Variegated' 」。メデューサやマギーがストレスで真っ赤に色づく環境の中においてもほとんど色づかずに明るいグリーンをキープし続けます。更に強いストレスを与えると色づくこともありますが、葉っぱの内側から発するというより表面だけほんのり赤いスプレーを浴びたような雰囲気です。

マギー

11月上旬。来たばかりの頃
11月下旬。まだ発根していません。メデューサよりも色が暗い印象
1月上旬
1月下旬。ワインレッドからライムグリーンのグラデーションと、ショッキングピンクの縁取りの独特な配色に。明鏡のように葉っぱが平面に近い感じになってきました
2月上旬。強い日差しで急激に色づいてきました

「アエオニウムの特徴は捉えにくい」ということは、いつも悩むのが新品種です。アエオニウム界でも日々いろんな新品種が誕生して魅力的なカタログを見せていただくことがありますが、その新品種が従来品種と何がどう違うのかわからない。説明できない。そりゃカタログで見比べれば違いはわかりますが、その特徴は一瞬を切り取ったものであり季節や環境でコロコロ変わるのは見ていただいた通り。

カタログの画像

この「マギー A. 'Maggie' 」も11月にうちにきた新品種。それから3ヶ月くらい管理していますが、ようやく本領発揮してきたかな?という程度で、いまだにその姿は捉えきれていません。

ちなみにこれをPUKUBOOK SUCCULENTSでお裾分け販売していますが、その説明文では「まだはっきりと個性が見いだせません」とか「長い時間をかけて把握していくもの」と正直に書いています。

さらなる新品種 ダンシングビューティ

というわけで新品種を選ぶときは基本的に、まったく見たことない斑の入り方をしているとか、葉っぱのカタチが明らかに違うといったわかりやすい品種を選びがちなんですが、そういうのは数が限られるし、アエオニウムの世界を広げるにはとりあえず飛び込んでみないとわからない。

2月にお取り寄せしたのはこちらの「ダンシングビューティ A. 'WuTianji' 」です。今のところ、マルディグラやマギーとの違いがわからない……。これはもう少し特徴が掴めてからリリースしようかなと思っています。どうなることやら。

見分け方のポイント

こんな感じで特徴が捉えにくいアエオニウム。ただこの短い経験からでも、どういうところを見たら良いのかわかってきたのでメモ的に書き記しておきます。

色づきやすさ

ほとんどのアエオニウムの色は品種間の違いよりも同じ品種の季節や環境による違いのほうが大きいので「この品種はこの色」ということはほぼ言えませんが、それでも「こんな色になりやすい」ということは言えそうです。いくつかの品種を同じ環境に置いたときの色の違い。ストレス環境においたときの色の変わりやすさなど。「相対的な違い」ですね。

葉っぱの展開のしかた・拡がりかた・向き

葉っぱのカタチや拡がりかたも品種間の違いよりも同じ品種の季節や環境による違いのほうが大きいんですが、それでも色と同様に「傾向」があります。例えば新葉が出始めるときにグリーノビアのようにゴブレット型にすぼまっているもの明鏡のように広がった葉っぱが平面に近くなるものなどは、きっとそういった原種の系統なのかなと思います。同様に、ベロアっぽいもの、葉っぱが細いものなども特徴として浮かび上がってきます。

グリーノビア ドドランタリス
アエオニウム 明鏡
フリル
アリエル
ロスコフ錦

フリルやカールが出ると特徴としてわかりやすいとは思いますが、若いうちはフリルが出ないこともあるので油断大敵です。

とはいえ……プロの視点

アエオニウムの品種解説を読んでいると、結局のところ「色」に着目しているものが多いので、その色を識別する審美眼を鍛えていく必要はありそうです……。

まとめと今後

というわけで冬に美しいアエオニウムの1年ぶりの特集コラムとなりました。

この時期のSNSタイムラインを眺めていると「屋内に退避だ!」とか「不織布被せて完全防備!」とか多肉植物は観賞するのを諦め...

このコラムを書いていて調べ物をしている途中で、アエオニウムの新品種についてむっちゃ詳しく書いてあるサイトを見つけたので、わかる範囲でさらに詳しく情報入れておこうと思います。日本一の、いや世界一の(笑)アエオニウム図鑑を目指していきたいですね!(って前のコラムにも書いたんですが)

膝丈くらいに木立ちした先にパッとロゼットを咲かせる、ひまわりのような姿で、多肉ガーデンでは主役クラスの存在感。夏に弱...

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