まるでバラの花が地面から生えたような、花のようなフォルムがかわいい多肉植物がこの「エケベリア」。
そのフォルムやカラーバリエーションの豊富さで人気がとても高く、米国、ヨーロッパ、韓国などで品種改良が盛んに行われて、むちゃくちゃたくさんの品種が流通し美を競っています。
ここではその「エケベリア」について、改めて解説するとともに、テーマ別の人気種をご紹介していきます。
そのほとんどがメキシコが原産で(ストリクチフローラだけ米国南部)、砂漠というよりもわりと草木の茂る森や草地の影に植わっていることが多く、直射日光がガンガン当たるところよりもマイルドな光の中で、年がら年中カラッカラではなく雨季にはしっかり雨が降るような、そんな環境が得意な多肉植物です。
Echeveria という属名は、18世紀に活躍したメキシコのボタニカルアーティスト Atanasio Echeverría y Godoy(Rが2つある) に由来しています。1828年にスイスの植物学者 Augustin Pyramus de Candolle によって考案されました。エチェベリア氏は1787年から16年間、スペインからメキシコに派遣された科学研究グループのなかで新種の植物の絵を描くために雇われていて、その記録の大部分は失われてしまったけど、後に「La Real Expición Botánica a Nueva España」という全12巻の図鑑にまとめられているそうです。
当時は4種しかなかったエケベリア属。しかしその後多数の新種も発見され、ヨーロッパに持ち込まれた美しいエケベリアたちはたちまち人気になり、交配も行われてますます種類や魅力を増し、現在に至ります。
ところでエケベリアの魅力ってなんですか?
多肉植物の大先輩たちである、PUKUBOOKの読者様に伺ってみました。
(※2020年12月に実施した読者アンケートをベースに構成しています)
ホワイトパウダーをまとった植物離れした色白美肌、春に咲き誇るすずらんのような花、また、交配で自分だけの品種が作れるといった上級者らしいご意見もありました。
まさに「語り尽くせない」魅力たっぷりの多肉植物ですね。
エケベリアの特集なのでその特徴をはっきりさせるため、あえて「近い属」との違いをまとめてみます。
エケベリア ラウイのように葉っぱが棍棒のようにまんまるになるのが超絶かわいいグループです。生長すると茎が伸びて幹立ちするコがほとんど。それ以外はエケベリアとよく似た生態です。ここに並べた属の中ではいちばんエケベリアに近い属です。
ロゼットは似ているけどエケベリアよりはシンプルなフォルムで、茎を伸ばして垂れ下がる「ほふくタイプ」になるのと、星型の上向きの花が大きな違いです(セダムに近い)。
スアベオレンスのように「エケベリアよりも美しい」と言われる種もいますが、その多くは葉っぱの細い「ほふくタイプ」で生態も異なります。寄植えでエケベリアを引き立てる名脇役として活躍することが多いです。
ホワイトパウダーに厚く覆われていて美しさに定評のあるグループ。遠目には似ているけど生態はだいぶ違っていて、値段もお高めなコが多く、上級者向け。生息域はエケベリアよりもやや北寄りで、メキシコ北部から米国カリフォルニアの内陸から離島あたり。
エケベリアがメキシコの温暖な乾燥地に適用したのに対し、ロスラリアやセンペルはヨーロッパ山間部の極寒地帯がホーム。葉牡丹のようにロゼットの真ん中からドバっと花を咲かせるのと、花が咲いた株は枯れるのと、そのためよくオフセットを出して増えまくるという大きな違いがあります。(同じオフセットで増えるプロリフィカというエケベリアもいます)
ロスラリアよりはエケベリアに近い見た目ですが、生態としてはロスラリアに近いグループで、アジア圏が主な生息地(日本にもいます)。オフセットで増える(増えまくる)のと、葉牡丹みたいな花がロスラリアっぽいです。
アフリカ北西部の離島「カナリ―諸島」のみに生息する個性派で、センペルに近い種。ほとんどが木立性。小型タイプはエケベリアに似ているけど、ツヤ感のあるエッジがシャープなのでよりハードな印象です。
それではそんな魅力たくさん、種類たくさんのエケベリアの中から、いくつか代表的な種をご紹介いたします。けどそこはPUKUBOOK。単に僕の好みで選んだりせず、データ集計したものをベースにしてピックアップしてみました。
はいはい、ランキングと検索で……ってこれ、いつでも誰でも見れるネタやんか。
どきっ
まず何から始めたらいいの?そんな初心者の方にオススメの「エケベリアといえばまずこれ」的な普及種です。ホームセンターや100円ショップでも手に入るので、失敗を恐れずとりあえず育ててみて、うまく付き合えるかトライしてみてください。
だいたい育て方もわかってきた!
ホームセンターでよく見かけるコじゃない、ちょっとだけ人と違うものにチャンレンジしてみたい。
そんなあなたにオススメの、ちょっとだけドヤれる「有名だけどあまり普及していない」コを紹介します。
交配が盛んで、毎日のように新しい品種がリリースされる「韓国苗」。ちょっとお高いし、何かに似たコが多くて何をどう選んだらいいのかわからない……。そんなかたのために、最新品種ではなく十分な期間が経って「確かに他にはない美しさだ」と高い評価を得ている韓国種の代表選手をいくつかピックアップしました。
韓国産ハイブリッドは全体的にふんわりやわらかかわいいコが多い印象です。今も日々たくさんの新種がリリースされているので要注目。PUKUBOOKでも検索してみてください。
※韓国産ではないものも含みます。
エケベリアハイブリッドといえば、今も昔もトップクラスの種数をリリースしているメジャー農園がカリフォルニアの「アルトマンプランツ」と作出者のルネ・オコンネルさん。その代表種をご紹介します。
韓国ハイブリッドと違い、全体的に色やカタチがはっきりパッキリしたコが多い印象です。
アルトマンプランツはグリーンルームさん(ブロメリアギフさん)が直接ライセンス契約して生産し、ホームセンターにも出荷しているのでそれと知らずに目にする機会も多いです。是非チェックしてみてください。
「エケベリアだけでも本が書ける」というのは事実で本当にエケベリア専門書が書店に並んでいます(他の属には真似できない……)のでまだまだ語り足りないことばかり。また改めて、よりコアな特集を組んだり、逆に書店じゃやらない他の属の特集も組んでいきたいと思います。
.