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PUKUBOOK Succulent picture book

2024.1.12 まさか驚愕の結果に……?! 第1回「弱光線LED 多肉植物育成選手権」

LED電球つかっていますか? トラブル少なく、健康的にキレイに育つ。多肉植物の育成にはもはや欠かすことができなくなりつつあるLED電球。こうして植物育成用ライトとして普及するようになったのは、もちろん光が大好きな多肉植物にも使える「強光線LED」が登場したから

……って、ホントにそうなんでしょうか?

何にでも疑問を持たずにはいられない科学マニアのPUKUBOOK編集長。植物を育成するのに、ホントに「植物育成用」のライトじゃないとダメなのでしょうか? ふつうのお店に売ってるふつうのLED電球って使えないんでしょうか? だって、使えたらめっちゃ安く済むじゃないですか

というわけで、実際にやってみました。

結果はまさかの……。

選手入場

まずそもそも、「強光線」とか「弱光線」と書いてますが、特に明確な定義はありません。気分的には、ふつうに室内照明用の電球としてホームセンターに売っているのが最高100W相当(LED電球で10W程度)なので、それよりも明るくて室内照明にはふつう使わないものを「強光線」と呼んでいて、それに対してふつうの室内照明用のものをここでは「弱光線」と呼んでいます。

PUKUBOOK COLLECTION AS型 10W 昼白色 1,650円

まずは個人的にお馴染みのコレ。公式ショップ「PUKUBOOK COLLECTION」でしか取り扱いがない製品で恐縮ですが、植物育成ライトとして定番な黒いスポットライト型電球の10Wモデル。このモデルは長い使用実績があってほとんどの植物がこれで問題なく育つので「もしかして強光線じゃなくていいのでは?」と思ったことが、今回の企画に結びつきました。

PUKUBOOK COLLECTION AS型 10W 昼白色 1,650円
中心部で32,360lux。直射日光くらいの明るさがあります。周辺部が弱いのが弱点。
ニトリ LED電球 100型相当 昼白色 1,290円

まずは「お、ねだん以上」のニトリ様の100Wタイプ。ノーブランド品を除くと、国内の100WのLED電球としては最安価格。あれが登場するまでは……。

なお、先に上げた「スポットライト型」とこうした一般的な室内用電球との最大の違いは「指向性」で、スポットライトはその光のほとんどが先端に向かっていますが、一般電球は全方向に拡がります。光を集めるフードがないと、光が散って植物を十分照らすことができないのが注意点(カバーを外すという荒業もありますがまた今度)。

ニトリ LED電球 100型相当 昼白色 1,290円
5,880lux。全指向性の拡散タイプなので全体を均質に照らしています
IKEA SOLHETTA LED電球 100W 電球色 999円

実は植物育成用LEDの草分け的存在はIKEAでした。今は当時の「植物育成用」と銘打ったモデルは廃盤になってしまっていますが、大丈夫、今回はふつうに売っている室内照明用LEDでの比較なんだから。

というわけで、IKEAの電球の中で明るさMAXの100Wタイプを選出。調光やリモコン対応のものもあるので、お間違えなきよう。ただ海外のインテリアショップらしく、その色はすべて「電球色」です。植物にそれがどう影響するのかも見ていきます。

IKEA SOLHETTA LED電球 100W 電球色 999円
6,360lux。ほかの電球と違う「暖かな赤い光」はどう影響するのか?
DAISO LED電球 100W 100W形相当 昼白色 330円

まじか! まさかのDAISOのLED電球シリーズに100W相当が新発売されていました。しかも値段が60Wと同じでニトリの1/4という、DAISOらしいバグった価格設定です。Amazonに売ってる怪しいノーブランド品より安いんですけど……。これが植物育成ライトとして使用できたら業界の常識がひっくり返るのでは?

ちなみにこのモデルはまだネットショップにはラインナップされていません。おそらく23年下旬に発売されたもので、この記事が実際に植物に使用した世界最速レビューかと思います。

DAISO LED電球 100W 100W形相当 昼白色 330円
6,380lux。IKEAと同程度。「明るい日陰」程度の明るさ。

環境と審査基準

用意した環境は、以前からLED比較試験に使用している自作の段ボールボックスです。電球の端から植物までは約15cmという至近距離1日15時間のタイマー点灯。水は受け皿を敷いて常に水が溜まった状態のじゃぶじゃぶ環境。箱内には特に送風はしていません(同室の反対角にぜんぜん向きの違うサーキュレータが24時間回っています)。

ダンボールの内側はアルミの断熱シートで覆っているので何もない空間より10~20%ほど効率良くなっています。ニトリなどの一般的な「拡散タイプ」の電球としては、ランプシェードを被せて近くから照射しているイメージ。

自作ダンボール実験ボックス。手前4種の中心にライトの軸が来るようにして4種には均等に光を当て、タパルパだけ離れたところに置きました。これはAS 16Wの部屋。
これはDAISOの部屋。拡散型は部屋全体を均一に明るくします

DAISOの電球はスペックがニトリのものとほぼ同じで、DAISOでうまく行けばニトリでも同様にうまくいくはずなので、今回はニトリはお休みしてDAISOに独走していただきます。また、弱光線の性能試験には比較として強光線も必要なので、PUKUBOOK COLLECTIONのAS型16Wにも参戦していただき、計4種。

PUKUBOOK COLLECTION AS型 16W 昼白色 2,200円
中心部で99,200lux。さすがの超強力ライト。砂漠の直射日光クラスです

スタート時点ではほぼ同等の株を用意して、約2ヶ月ほど隔離して照射した結果を比較。

スタート時点ではほぼ同等

審査基準は完全に「主観」で、その品種として理想的な姿をしているかどうか?で順位付けしていきます。

第1回戦 エケベリア リラシナ

まずは定番の「リラシナ」がエントリー。リラシナは強光線でもあまり表情を変えませんが、本当に光が足りないときのヒョロさは顕著になるコですね。

1位 DAISO

この株は開始直後に成長点がロストしたので全体としてはバランスが悪いですが、新しい成長点まわりは密で発色がよく、リラシナらしい良い株になりそうな予感です。

2位 AS 10W

こちらはストレスかパープルカラーが良く出ています。葉っぱが強くうねっているのもストレスっぽいですね。リラシナにはちょっと光が強すぎる感じがします。

3位 AS 16W

光が強すぎるのが顕著に出ているのがこちら。ちゃんと大きくなってくれませんでした。

4位 IKEA

これは「不本意な結果」かもしれません。途中で成長点がロストしてしまい正確な評価ができていません。とは言え、リラシナらしいパープルカラーは良く出ているけど葉っぱが詰まっていないので間延びしている感は否めません。

ランク外 室内蛍光灯

比較として、同じ室内の実験ボックスの外においた株はどうなるのかを見ておきます。つまり「室内に、LED無しで置いた場合」です。

結果はみごとに伸びました。そもそも成長スピードも遅くうねうね伸びてくることもありませんでしたが。LED電球がないと室内ではまったく育たないけど、弱光線でもLEDがあればそれが改善できるということがよくわかります。

第2回戦 エケベリア タパルパ パルバタイプ

こちらはエケベリアの定番「桃太郎」とほぼ同等のコなので、一般的エケベリア枠として参加。また、あえて軸上中心から少し離した「スポットライトの枠外」に置いての勝負としました。「スポットライト」と「拡散型」の機能の違いを評価するためです。

1位 DAISO

これはむちゃくちゃ僅差ですが、個人的に「スラリと長いはっぱ」を評価してDAISOに軍配。

2位 IKEA

DAISOとどっちがいいかは好みと思うほど良い結果なのがIKEA。

3位 AS 16W

予想通り不利な結果となってしまった「スポットライト」たち。どちらも明らかに光量不足。どちらがより「マシ」かについては好みの問題になりそうですが、個人的に赤いティップが出ていたこちらを評価しました。

4位 AS 10W

逆に葉数は多いが色が弱いのがこちら。タパルパ(桃太郎)としてのキャラが弱いので評価は低めとさせていただきました。

第3回戦 エケベリア グリーンペッパー

あまり訊き馴染みのないコですが、いわゆるアガボイデス系のハイブリッドで、光に対して「紅葉=ストレスカラー」が良く出るのが比較ポイントです。

1位 AS 10W

いわゆる「バッキバキのストレスカラー」が出て眩しいくらいなのがAS型10W。もう見事としか言えません。

2位 IKEA

バキバキではない通常レベルのカラーとしてよく発色し、フォルムも健康的で、もっともバランス良く美しくなったのがIKEA。

3位 DAISO

対してDAISOは色が弱め。IKEAの夕焼けカラーがなにか良い感じに効用しているようです。

4位 AS 16W

ごめん。たしかにストレスカラーは良く出ていますが、そのストレスに負けています。ちゃんと大きくなってくれませんでした。

第4回戦 アガベ レッドキャットウィーズル

そもそも「強光線」といえばアガベのために重用されているものです。そこに「弱光線」は適うのか。

1位 AS 16W

レッドキャットウィーズルを最も「レッド」にしたのが16W。もちろん「過度なストレス」であって実際に生長はほかのと比べて遅めですが、いやいや何言ってるんですかこれはアガベですよ? チタノタですよ? このくらい「締める」パワーがなければアガベ用として十分とは言えませんよね(笑)

2位 AS 10W

ゴリゴリのストレスとまでは行きませんが、がっしり健康的なボディに作り込んでくれたのが10W。子株のうちに、作り込みより生長を優先したい場合はこちらの方がいいかもしれません。

3位 DAISO

うーん。アガベ用にはちょっと光不足で間延びしている感じ。

4位 IKEA

こちらも同様に。ただやっぱりDAISOよりストレスカラーが強めに出ています(ちなみに別で実験している赤ライト環境ではツメが強く出ます。アガベと赤ライトの関係性はまた今度改めて……)。

第5回戦 ハオルチア ドドソン紫オブツーサ

先日のハオルチア特集で出てきた「プリップリ」のドドソンを再現できる電球はあるのか……。

1位 IKEA

もう圧倒的に差がつきました。理想的なぷりっぷりなドドソンにできたのは唯一このIKEAだけ。

2位 DAISO

光量はほぼ同じなのにこっちはしわしわに。開始当初はもうちょっとぷりぷりしていたにも関わらず。ライトの「色」でここまで顕著に結果が変わるということは、もっとその違いについて研究する必要がありそうです。

DAISO環境の、開始前と結果。ぷりぷりだったのにしわしわに
3位 AS 10W

見るからにシワシワに。ハオルチアにはきつい明るさのようです。

4位 AS 16W

10Wでダメなんだから16Wなんて。見る影も……。

結果発表!

総合順位をどう判断するかも悩むところですが、単純に獲得順位を合計してそのポイントの低い順で並べると……。

1位 DAISO 10pt
2位 AS型 10W 12pt
3位 IKEA 13pt
4位 AS型 16W 15pt

な、なんだってーー!

まさかの、DAISOが1位? あの330円のDAISOが?!

振り返ってみるとDAISOは、エケベリア全般に対して「ちょうどいい感じ」の結果になっているんですよね。強すぎもせず、弱すぎもしない。そういえばエケベリアはあまり光が強すぎないほうが、育ちがよく、優しい表情になるんですよね。量産を得意とする大規模なナーセリーさんが用意する環境のような。それに近い気がします。

IKEAはそれに対して、より強くストレスカラーが出たことと、ハオルチアをプリップリにしたのが驚きの結果。赤い光ということは、イメージとしては「ずーっと夕焼け空の下」。これがどうして色やプリプリに差を生んだのかは謎ですが、これだけ顕著に違いが出ることがあるということは「植物育成用LEDといえば昼白色1択」という通説については「そんなことないぞ!」と言えそうです。

また、DAISOにしてもIKEAにしても、結局「絶対的な最大光量」がスポットライトと比べて圧倒的に足りないので、より強い光を好むコたち(アガベやサボテンやエケベリアでもカンテやラウイなど)に対しては引き続き強光線タイプが優位と言えそうです。また、スポットライトは距離を離せばいくらでも弱光線環境を作れるという柔軟性も忘れてはいけません。

なお、今回「第1回」とさせていただいたのは「暫定結果」と思っているからです。一部不本意な結果になってしまったこともありますし、環境が「専用段ボールボックス」という特殊性もあります。次回はもう少し「実践的」な環境を作って比較してみたいと思います(結果が出るのは3か月後くらいですがー)。

まとめ

さぁ、ここに新しい選択肢が誕生しました。

「植物育成用LEDなんて高くて買えない」と思っていたそこのあなた

今すぐDAISOに走れ! 今すぐだ!!

多肉植物コラムを毎週1本休みなく書き続けてはや1年。その中で、おかげさまでご好評を頂いている記事の1つが「カインズで揃え...

#という記事を、長らく欠品していたLED電球の再入荷直前に発表する商売っ気のないお店が「PUKUBOOK COLLECTION」です……(笑) 再入荷するLEDライトもよろしくお願いします!(笑)

憧れの光を、すべての人に。そんなコンセプトで「必要十分な性能」のLED電球を業界最安値のメーカー直販価格でお裾分け販売し...

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