今年もやってまいりました。多肉植物にとって地獄の季節。まだ7月になったばかりだと言うのに天気予報でも35度を超えるようになり、SNSでは「ジュレた!」「遮光だ!」「断水だ!」と連日のように慌てふためくポストが飛び交うこの季節。PUKUBOOKコラムでも過去にいろんな夏越しやジュレ対策の記事を投稿してきたのでぜひチェックしていただきたいところ。
特にこちらの「収穫」は多肉植物を強制的に「休眠」させることで高確率でジュレや枯死を防いで夏を無事に乗り切る良いメソッドとして、我が家では毎年積極的に行っています。
だがしかし、もっとアグレッシブな手法があるんじゃないかと。暑いのがダメだって言うんだから涼しいところに保管したら良いんですよね。どのご家庭にもあるじゃないですか。年がら年中ひんやりしている、だから新鮮な野菜も長期間傷まず(ジュレず)にキープできる魔法の部屋が。
そう。冷蔵庫の「野菜室」!
今回は「多肉植物の夏越に、冷蔵庫の野菜室は使えるのか?」という実験回です。
#結論だけ先にいうと「品種による」。失敗例もあるので自己責任で。
野菜室とは文字通り、冷蔵庫のなかで野菜を保管しておくのに最適化されたスペースで、主な特徴は、温度が6~8℃と比較的高め(冷蔵室が2~4℃で冷凍庫が-18℃)、湿度が20~50%とこれもかなり高めで、「野菜の活動を阻害しないギリギリ低めの温度+ラップがなくてもカピカピにならない水分維持に最適な湿度」になっています。
これを見てふと思ったわけです。温度が6~8℃で、湿度が20~50%って、多肉植物にとってむっちゃ快適な環境では?
まずはエケベリアからヤンジン E. 'Yangjin' 。小さくて葉っぱも薄いので寒さの影響は受けやすい方かなと思いますが(ただの先入観で根拠はありません) 、冷蔵庫の野菜室に閉じ込められて3週間。弱るどころかツヤ感でて元気になっている気がします。
寒さに強い冬型のアエオニウム「ピンクウィッチ A. 'Pink Witch' 」。こちらも始まったときに縮んでいた葉っぱが色艶よく展開して元気そうです。
雷神系と書いたのは「グアダラハラナ コンパクタ A. guadalajarana f.compacta 」という名前で入手した謎アガベだから。まだ期間は短いけど特に変化なく元気です。
そろそろ休眠期に差し掛かろうとしていたアエオニウム。野菜室に2週間程度入れていたところでチェックしたらすっかり縮んでしまっていました。これは水切れっぽいですね。アエオニウムは寒さに強いからなのか、野菜室でも活動停止せずに積極的に水を使って生長しようとしていたのかもしれません。
こちらは同じタイミングでスタートしていたチタノタ。典型的な冷害の症状で株全体がジュレてしまいました。
というわけでいろいろ試してみてわかったことをまとめます。
1.そもそも寒さに弱い品種はNG
2.冷蔵庫内は暗い。けどほぼ休眠するのか意外と徒長しない
3.冷蔵庫内は意外と乾燥している。水切れしすぎないよう給水は必要
給水と言ってもふつうの多肉植物管理と同様に、用土にたっぷり水を吸わせて水を切ってから冷蔵庫に入れ、土が乾燥したらまたたっぷりと吸わせて……を繰り返す感じ。冷蔵庫内で腰水管理する必要はなさそう。
以上の注意点を守って適切に管理できれば、野菜室内でも1~2ヶ月は問題なく生命維持できるというのが結論です。1~2ヶ月あったら夏の危険な期間は十分回避できますよね。
ただ、やっぱりリスクは高いので、屋外夏越とどっちが良いかと問われると悩むところです(笑)
ご自身の判断で挑戦していただければと書き添えつつも、参考にしていただけましたら幸いです。
実はこの実験、当初の目的は「季節外れの時期に紅葉させることはできるか?」でした。ただ冷蔵庫の最大の欠点は「真っ暗」なことで、紅葉させるには完全にストレス不足。そもそも光がないところで成長させたらそれは「徒長」に直結しますし……。
というわけで思いついた「真夏に紅葉させることができる環境」を目下実験中です。もう少し結果が出て、ノウハウとしてシェアできそうなくらい固まってきたら記事にしたいと思います。