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PUKUBOOK Succulent picture book

2022.6.10 サボテン? コーデックス? カラーリーフ? 花? 多肉植物を超えた多様性で魅せるユーフォルビアの世界

多肉植物コーナーだけでなく、サボテンコーナーにも、コーデックスコーナーにも、はたまたガーデニングコーナーのカラーリーフや花たちの中にも共通して見かける名前。それが「ユーフォルビア」。ユーフォルビアって、結局何なの? 多肉植物なの? そんな疑問に答えつつ、ユーフォルビアの魅惑の世界を紹介します。

ちなみに夏っぽい雰囲気だし実際多くのユーフォルビアが夏型なので初夏に特集していますが、中には冬型のコもいるのでご注意ください。

ユーフォルビアとは?

Euphorbia eduardoi
群星冠
ポイゾニー
樹容キリン
タカトウダイ
ミルシニテス

そう。ひとことで「ユーフォルビア」といってもその正体はまったく掴みどころがないように思えます。それもそのはずで、西はアフリカ大陸の南端から東は日本含めたアジアまで、その生息域は世界トップクラス。その広い生息域でそれぞれ独自に進化してきたため、ガッツリと多肉植物と化しているものもあれば、ふつうの草花のようなもの、低木になっているものまで本当に多様。その数は2000種あると言われていて、そのうち500種ほどが「多肉植物」に分類されます

葉っぱなの?花なの? 独特の花
ユーフォルビアの花(ミルシニテスかな?)
オベサの花(雄株)

その草姿は多種多様ですが花はどのユーフォルビアもよく似ています。ユーフォルビアの花は1つの花に雄しべか雌しべのどちらか1本しかなくて(雌雄異花)その花が複数集まって花びらのようなもの(苞葉)に包まれ1つの花のようになっています。遠目に見ると花なのか葉っぱなのかはっきりわからないフラットでシンプルな花。ほぼどのユーフォルビアもこんな花を咲かせます。

花びらなどを捨てて雄しべと雌しべだけになってしまった花と、そのまわりのパーツで結局花びらっぽいものを作り直した経緯がとても不思議です。

毒性に注意
ユーフォルビアの樹液

また、もう1つの特徴、これはユーフォルビアをユーフォルビアたらしめている最大の特徴ですが、茎や葉っぱを傷つけると、白く濁った樹液が驚くほど潤沢に流れ出てくること。ミルクにも例えられ、その名を持つ種もいます。この白い樹液は毒性があって触れるとかぶれることもあるため、口や目に入らないようにするとか、触ってしまったら水でよく洗うなどの注意が必要です。

サボテンとの違い
コルムナアルバ(サボテン)のトゲ
トルティリス スパイラルのトゲ。刺座に見える根本はトゲと一体化したカチカチ素材

PUKUBOOKでは大胆にも「サボテン」カテゴリに載っているユーフォルビアですが、もちろんサボテンではありません。サボテンには「刺座」と言ってトゲの根本にふわふわの台座があるのが特徴でユーフォルビアにはそれがないのが見分けポイント。またユーフォルビアのトゲの多くは花が咲き終わった「花芽」をリサイクルしてトゲを作りますが、サボテンのトゲは葉っぱが進化したもので最初からトゲとして出てくるという違いもあります。

ギラウミニアナのトゲ。葉っぱの間からトゲがトゲとして生えてきているのがわかります。パキポディウムに近いかな

ただ、「刺座がないけどトゲがある」のはユーフォルビアだけじゃないし、「花芽のリサイクルじゃない生来のトゲ」をつくるユーフォルビアもあるので、ユーフォルビアと確定診断したいときには先の樹液を出してみるのが確実です。

トウダイグサとは?
トウダイグサ Euphorbia helioscopia

そもそも分類名の和名がトウダイグサ科トウダイグサ属っていうんだけどそのトウダイグサって何でしょう? このトウダイグサは学名がヘリオスコピア Euphorbia helioscopia という種で、草姿が灯台(岬にあるやつじゃなくて、電気のない時代に油を入れて火をつけ明かりにしていた道具)に似ているのがその名の由来。

ってこれ、実は日本にもふつうに生えている草花なんです。いわゆる雑草として。開花期は4月~6月で、花が開くと遠目には緑がかった菜の花に見えますが、近くで見るとまさにユーフォルビアの花。異国情緒があって外来種かと思いきや、れっきとした在来種なんですね。

身近にあるユーフォルビア

それほどまでに多種多様なユーフォルビア。実は多様すぎて私達の身近なところにも知らないうちに入り込んできています。もちろんそれは多肉植物じゃないこともあって、多肉植物好きになってもしばらく気づかないということもあります。たとえばこんなコたち。

プルチェリマ

いわゆる「ポインセチア」のことです。きっと世界一有名なユーフォルビアでしょうけど、僕ですらこの特集のために勉強するまでちゃんと知りませんでした……。

ウルフェニー
ハナキリン

こちらはお花屋さんや街の花壇でよく見かけるユーフォルビア。多肉植物として流通しているわけではありませんが、日差しや乾燥に強いので頻繁にメンテできない街の花壇で重宝されています。

ミルクブッシュ
大明神

ホームセンターや観葉植物として流通しているものも見かけます。多肉植物にはくくられますが、あまり多肉植物専門店では見かけません。

巒岳
大鳳角

最後に逆に身近になれないコたち。巨大なユーフォルビアです。これらは園芸用としてはめったに見かけませんが、植物園でよく見かけます。

人気のユーフォルビア

オベサ

多肉植物のユーフォルビアでトップクラスの人気種といえばまず「オベサ」ではないでしょうか。ここではそのオベサとそれによく似た玉系ユーフォルビアを集めてみました。

オベサ
シンメトリカ オベサとの違いは難しいけどより背が低く丸くなるという説
メロフォルミス(インファウスタ) 稜が深くてトゲがあるのが特徴
メロフォルミス錦 そのメロフォルミスのストライプバリエーション
ユーフォルビア バリダ;深い稜とおどろおどろしいトゲが特徴
オベサ梵天 オベサのハイブリッドで筒状に伸びてきます。インファウスタとオベサの中間くらいの雰囲気
オベサブロウ オベサと瑠璃晃のハイブリッド。頭はオベサに似てるけど立ち上がって分岐して群生株になります
トゲもの

サボテンとユーフォルビアの見分けを難しくしているのがこの「トゲもの」と言われるトゲトゲシリーズたち。たしかに遠目には違いはわかりません。それぞれ海を隔てたアメリカとアフリカで、全く別の種が、似たような環境で進化して似たような結果になったという、自然の面白さを物語っているようです。

ゼブラホリダ 先のオベサとも血縁的に近いんじゃないかと思われる、筒状ボディにトゲをまとうタイプの代表格
紅彩閣(エノプラ) 赤いトゲがカッコいいコ
ホワイトゴースト 白いボディで人気の高いコ。オシャレインテリアショップでも見かけます(室内でも育ちます)。ホリダとはまた違ったトゲの生やし方をするタイプ
墨キリン
グリーンウェイ
ムクジエンシス
ノベリー
エノルミス
クラビゲラ
タコモノ

コアな人気があるユーフォルビアの系統。ゴツゴツとした根塊の先にニョロニョロとイモムシのような枝?葉っぱ?を伸ばし、タコのように見えるからタコモノ。自然の中ではその根塊は土の中に隠し、先のタコの足だけ伸ばしています。

九頭竜
緑仏塔
孔雀丸
ガムケンシス
ゴルゴニス
天荒竜
クラバリオイデス
倶梨伽羅玉
コーデックス

ユーフォルビアはコーデックスの世界でもその名を馳せています。タコモノはそのコーデックスの中の1グループではありますが、ここではあえてコーデックスに特徴のある種を並べてみます。

デセプタ どちらかというとタコものですが、そのゴツゴツとしたコーデックスも見事で惚れ惚れしちゃうビジュアルの高いコ
ムルチセプス これもどちらかといえばタコモノで、山のようなコーデックス全体からニョキニョキとイモムシを伸ばします
飛竜 強いて言えばタコモノなんですが、その葉っぱが飛竜に例えられるように厳つくも風を感じる軽やかさ。色白コーデックスも目を引きます
パキポディオイデス もちろんパキポディウムではありませんが、似たような環境で進化したから似たような結果になったという例がここにも。生息エリアが限られた絶滅危惧種でレア種。
鬼笑い
蓬莱島
ムランジアーナ
トリカデニア
ビザール

どこにも分類し難い、ちょっとかわったユーフォルビアたち。

ギラウミニアナ 分類的にはコーデックスものですが(トゲものじゃなくて)、めったに見かけないレア種。パキポに近いビジュアルです
フランコイシー 分類的にはコーデックスなんですが、小さくて根塊は見えないし、なにより個性的なカラリングの葉っぱが光っています
プラティクラダ 枯れ朽ちた樹木……ではありません。こう見えて元気。枯山水庭園に似合うかも知れませんね
ポイソニー 毒々しいカラーが美しい葉っぱは、本当に毒がある目印なのでしょうか。ユーフォルビアの中でも特に毒性の強いコです。取り扱い注意
グロボーサ 植物だって言っても信じてもらえなさそうな積み重ねた白玉団子。いったいどこの惑星に降り立ったのでしょうか

まとめ

多肉特集をしてもコーデックス特集をしてもサボテン特集やガーデンフラワー特集をしてもどこにでも登場する「ユーフォルビア」。逆にこうしてユーフォルビアを幅広く特集しているところって珍しい気がします。生態系も園芸ジャンルも全く異なるコたちだけど、一同にあつめてみるとやっぱりどこか似ているし、似ている所があれば覚えやすく見分けもつけやすく、付き合いやすくなるんじゃないでしょうか。家の中のいたるところにいろんなユーフォルビアを置いてみてください。

すごくサボテンらしい姿だけど、実は「トウダイグサ科」という庭木の仲間でサボテンではありません。アメリカ大陸のサボ...

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