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2022.4.8 今度こそダメにしない! エアプランツ「チランジア」のベストな育て方を徹底検証

「土が要らないから超カンタン」なんてキャッチコピーで、オシャレなインテリアショップでも雑貨感覚で販売されていたりする植物らしからぬ植物「エアプランツ」。そのほとんどが、正式名称「チランジア」の仲間たちです。カンタンカンタンという割には、大きくならない、枯れた、バラバラになった……など悲しい報告が後を絶ちません。ほんとにカンタンなの?どこでまちがったの? チランジアの真の姿を追いながら勉強していきましょう。

チランジアとは?

チランジアは、いわゆる「エアプランツ」のこと。主にメキシコから南米全域の森林から山岳地帯がふるさとの着生植物で、樹木や柱サボテンの幹、ゴツゴツした岩場といった、根っこを張るための土がないところにくっついて、雨や霧といった空中から得られる水分を葉っぱから直接取り込む能力を得た植物たちのこと。

インテリアショップでも雑貨感覚で売られているし「空中から水分を吸収する」というところだけ独り歩きして、部屋においておくだけでOKみたいなイメージが先行していますが、結構マメに水やりが必要な、生きた植物。そのことを忘れて、気づいたらしおしおになっていた……なんてこと、ありませんか?(あぁ、我が家のことだ)

ここではそんなチランジアたちの生きた植物としてのお付き合いの仕方を再認識するために、その生態や生き様を勉強していきます。

チランジアの原産地とタイプ

一言でチランジアと言っても、その生息域はとても広く、それぞれ異なる環境に適応していったので生態が異なるし当然管理方法も変わってきます。その生態ごとにざっくり大きく分けると3タイプに分類されます。

熱帯雨林の木陰タイプ
出典 flic.kr
キアネア

「チランジアは熱帯雨林の原産で……」とよく言われます。確かにチランジアの生産者さんといえば湿度の高い熱帯のような温室で増やしているのでそんな環境がベストマッチなのは間違いありませんが、実際に熱帯雨林にお住まいのチランジアはいうほど多くありません

熱帯系チランジアの代表種といえばキアネアですが、園芸店では基本的に「鉢植え」で流通しているし、タンクブロメリアなどの熱帯植物と並んでいたりして、エアプランツのイメージとは異なります。近年これらは「ワリシア」という別の属に再編されたこともあり、もはやチランジア特集で扱う必要もないのかも……。

もう少し広い意味での熱帯雨林系チランジアとしてはストリクタやトリカラーなどが挙げられます。葉っぱにはトリコームが控えめで元気なグリーン系が多いので「緑葉種」とも言われます※。このタイプは湿度の高い密林の樹の下で育つので、頻繁な水やりと直射日光を避けたマイルドな環境が好みです。

※「緑葉種」は先のワリシアのようなタイプを指すと説明されているところもあります。

雨季と乾季がある森林タイプ
チランジア ファッシクラ-タ

チランジアといえば? で名前が上がってくるセレブチランジアさんたちは、ほとんどがこのタイプ。熱帯の林には違いないけど、雨季と乾季があり、乾季にはほとんど雨がふらずカラッカラになる「熱帯乾燥林」と呼ばれるような環境。年間降水量は日本の30~50%というところもあって、雨が少ないイメージが数字からも伝わってきます。

木の上に着生しているキセログラフィカ @ エルサルバドル サンタアナ

このタイプはトリコームがよく発達していて白銀に見えるため「銀葉種」と言われます。長い乾季に耐えるため、乾燥に強いのが特徴。ただ「乾燥に強い」というだけで、乾燥させなきゃいけないわけじゃなくて、温室で水やりを続けるとスクスク育ちます。自然では強がってますが、やっぱり甘い環境が好きってことですね。

カラカラの山岳地帯タイプ
プルプレア
アロージェイ
プエブレンシス

さらに過酷な環境にお住まいのチランジアもいらっしゃいます。メキシコやチリの標高の高い山岳地帯で、周りには背の高い木がほぼない開けたところで、アガベやサボテンと一緒に直射日光にさらされながら生きています。このタイプのチランジアはよく発達したトリコームに覆われて(真っ白な葉っぱやモケモケなコも)少ない水分をよく吸収するし、カンカンの直射日光にもよく耐えます。一方で、水のやり過ぎには弱い傾向があって、ソーキングはNGで風通しの良さは必須。つまり熱帯雨林タイプとは真逆の環境が好みということです。

環境による育ち方の比較実験

チランジアの育て方は……と一般論を語るのではなく、実際に比較実験してみた結果があるのでご報告させていただきます。日照量と水やりの頻度を変えた結果どうなるか?ですが、それぞれ写真の左から……

①屋外:日当たりの良いテラス(1日3~4時間の直射日光)
②〃
③室内:日当たりの良い南側の窓辺(1日2~3時間のレース越しの日光)
④室内:南向きの部屋の北側

①ほぼやらない(月1回)
②週1回程度 蛇口でひたひたに濡らして水切り
③〃
④〃

という感じに差をつけてみました。

3月20日
4月6日
4月20日
5月8日

結論としては、③の日当たりの良い窓辺で週1回の水やりが最もいい感じに育ちました。赤く紅葉させるには②のように強い日差しが不可欠だということも。まさに「チランジアの育て方」でよく言われるメソッドそのもので何を今更感にあふれていますが、ここで注目すべきは①と④。

①は、カンカンの屋外でほぼ水やりなしという過酷な環境なのにちゃんと生きているということ。もちろん4月20日の段階で見るからに萎れていて、ここで水やりをやらなかったらダメになっていたかもしれません。

④は、南向きとは言えさほど明るくない部屋の奥側。日中でもデスクワークでは照明が必要なくらい。実はこんな「暗い」ところでちゃんと育つ多肉植物はほぼありません。たしかに③に比べると不健康そうな色をしていますが、色以外に問題は見当たりません。

というわけで、この実験から読み解く「チランジアの育て方として伝えたい事」は、日当たりは柔らかい日照がベストだけどカンカン照りから比較的暗い室内までキャパがかなり広いこと、水やりは週1~2回がもりもり健康的に育つにはベストだけど(やりすぎで腐らせちゃうリスクもあるので)3週間に1回程度のズボラな感じでもOK!といったところでしょうか。

もちろん、種類やタイプによってベストな環境は変わってきます。ぜひ実際にお手元のチランジアたちの様子をこの写真と比べながら、ベストなお付き合い方法を見つけていってください。

22年4月 ③が花を咲かせてくれました

チランジア写真館

チランジアの人気種のいくつかをオリジナル写真でご紹介していきます。要するに我が家で育て方研究のネタとして管理している(していた)コたちです。

キセログラフィカ お店で売っていた時の様子。だいたいこのようにキュッとまるくまとまっていますが……
水やりをして3日でこのくらい開きました
半年くらい経って少しだけ大きく

チランジアというと別格的セレブなのがこの3種。キセログラフィカはチランジア最大級の大型種で、小さくて安いのでも2,000円くらいから(大きいと8,000円とか3万円とか…)と少しハードルが高いのもあって別格中の別格。ウスネオイデスはそのビジュアルが他に類を見ない個性的なチランジアで、イオナンタは人気と普及率と丈夫でカンタンなところが別格。それぞれが別格(個性的)過ぎて「これを押さえておけばチランジアは大丈夫」にはなりませんけど……。

ウスネオイデス 遠目にはストリングカーテンに見えますがその紐は小さな子株が幾重にも重なったもの
イオナンタ 卵サイズの小型種。とても有名で人気がありいろんなタイプ違いもあります。チランジアの中でも特に丈夫で初心者にもおすすめ

以下、ビジュアル的に近いものを並べてみます。

コットンキャンディー ピンクの花を咲かせる銀葉が遠目に「綿あめ」にみえる名前もビジュアルもかわいいコ
ストリクタ びしっと細く固い葉っぱを伸ばす凛々しいコ
カピタータ やや幅広でソリッドな葉っぱがクールカッコいいコ
ジュンセア 細い葉っぱを30cm以上伸ばすインパクトのあるコ。このサイズの葉っぱが根っこのないボディから生み出されてくのが不思議です
テクトラム モケモケ葉っぱが個性的なチランジア。高原の日差しの強いところにお住まいで、風通しさえ気をつければ強健な種。
カプトメデューサエ ウネウネとした葉っぱと根本の膨らみがチャームポイント。その膨らみは現地ではアリさんが住んでいるんだとか
ストレプトフィラ カプトメデューサエに似たウネウネ葉っぱ。こちらは葉っぱが柔らかくて繊細。水切れに弱いです。
ブッツィー カプトメデューサエに近いのはこちら。熱帯雨林系でアリと共生しています。

まとめと感想

実は何を隠そう、チランジアは苦手です(どどーん)

チランジア(に限らずほぼすべての植物に言えるけど)をダメにする原因は大きく2つで、水のやらなさ過ぎか、水のやり過ぎ。

僕の場合は「水のやらなさ過ぎ」で、よくしおしおの再起不能な状態にしてしまいます。ただ今回実験してみてつかんだのは、チランジアは思ったよりもずっと水が好きだということ。1ヶ月放置しても耐えてくれるけどマメにやるほど元気。風通しの良いところなら毎日やっても大丈夫。なので、僕に対する戒めとしては「もっと頻繁に水やりしてあげなさい」ということですね。

なお、「水のやり過ぎ」で枯らしてしまう方(中心が黒くなったり、葉っぱは萎れてないのにある日突然バラバラになったりするケース)はどちらかというと水やりしたあとの乾燥に難があることが多いです。風通しのいいところに置くか、室内ならサーキュレータを24時間回すようにしてください。

「エアープランツ」と呼ばれているものは、実はほとんどすべてこのチランジアの仲間です。土が不要なので置き場所を選ばず世...

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