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PUKUBOOK Succulent picture book

2021.7.9 まさにベストシーズン! 今もっとも熱い多肉植物「アガベ」の魅力を徹底解説

暑い夏がまもなくやってきます。暑いといえば、2021年の現在、最も熱い多肉植物は何かと聞かれたらその答えはきっと「アガベ」。

暑さに強く、暑い夏にぐっと大きく生長する夏型多肉植物の代表格アガベを、まさにベストシーズンの今、解説と人気種の紹介を試みます。

アガベとは

Agave utahensis var.kaibabensis の生息地での様子(米国アリゾナ州)

厳ついトゲをまとった肉厚の葉っぱをロゼット状に広げる、単体で花のように優雅な雰囲気のある植物。アメリカの南部からメキシコ、南米北部の砂漠や岩場が主な生息地で、直射日光がガンガン当たり寒暖差の激しい厳しい環境で生き抜いてきた、暑さにも寒さにも強い強堅な種

竜舌蘭というファンタジックな名前の由来にもなったモンスターのようにおどろおどろしいフォルム、アメリカ南部の荒涼な風景や西部劇の背景に佇む雰囲気、テキーラの原料にされている薀蓄、そしてその花は100年に一度しか咲かないと言われ咲くと命を落とすことから「センチュリープラント」と呼ばれている壮絶な物語も、ロマンを掻き立て、根強い人気の裏付けになっています。

アガベの名はギリシャ神話のアガウエー(Agave)に由来。植物の分類体系を作ったカール・フォン・リンネによって名付けられた歴史ある名前です。

アガベの魅力

100年に1度咲く花

アガベの花は1回しか咲かず、咲くと株ごと枯死してしまいます(「一稔性」と言います)。それでいて、生まれてから花が咲くまでに数十年はかかると言われ「センチュリープラント」という呼び名もあります。花芽は本体の10倍くらいの高さになり、その瞬間だけは巨木のような佇まい。数十年に1度と言われるレアなショータイムは、始まると全国紙のニュースに取り上げられることも。

出典 flic.kr
アガベの花
アガベの花 By Tim Green from flickr

ちょうどこの記事と同じ日に、毎日新聞に掲載されましたね。

数十年に一度の晴れ姿 京都のホテルでリュウゼツランが開花

ちなみに、高く花芽を伸ばすけど、朝顔のタネに似た黒い粒状のタネを実らせるアガベ。自然環境の中でどうやってそのタネを広げているのかというと、コウモリが食べて撒き散らしているんだそうです

長く生長を楽しめる

100年とは言いませんが、花が咲くまで数十年かかるアガベ。それまでの間ほぼずっと、毎年葉っぱを増やし、少しずつ大きく、立派に生長していきます。大きさが変わらなかったとしても葉数を増やしたり、葉っぱの表情を変えたり、子株を吹いたり。

まるで自分自身の生長や変化に寄り添ってくれるかのように長く付き合えます。 人生のパートナーのようです。

2018年10月
2020年6月
2021年5月

ちなみに、アガベは若いうちのほうがよく子株を吹きます。十分に生長した青年株でも子株を吹くこともありますが数は少なめ。子株を吹く前に花が咲くこともあるかもしれません。生長を楽しみ、枯死する前に子株を採っておくためには、小さな若々しい株から始めるのがオススメです。

暑さにも寒さにも強い

他の多肉植物に比べてかなり強堅な種が多いのも初心者にとって頼もしい限りです。多くのアガベが地植えで元気に育つくらい日本の環境にもよく馴染み、雨ざらしの放ったらかしでもいいくらいのローメンテナンス。

もちろん絶対に無敵というわけではなく、特に子株のうちは注意が必要で、極端な高温多湿、日照りによる干ばつ、長時間の氷点下は避けるようにしてください。経験上危険度は、斑入り種に対する真夏の蒸れと日照り、実生1年目の水切れ、真冬の凍結の順。わが家でも2020年に凍結被害がでましたが、ダメージは外葉だけでで春になったら復活したこともあり、あまり怖れなくなりました。

凍結被害でボロボロになったベネズエラ(それもまた趣があり…)

組織培養で進む量産

アガベは基本的に子株で増やします。タネが手に入れば実生(タネまき)をすることもありますが、数十年待ってタネを採ろうという人はいないはず。じゃあ手元にむちゃくちゃカッコよく生長する株が1株あったとして、子株で増やそうと思ったら? うまくいって3年かかって10~20本といったところでしょうか。まさに「生産が追いつかない」というやつです。

出典 flic.kr
組織培養の様子(写真はアガベじゃないけど)

けど最近はそれを「組織培養」しています。組織培養(英語で tissue culture という)は葉っぱや新芽などの植物本体から子株を増やす方法。組織を小さく切り刻んで、無菌の培養液に入れておき、子株が出てくるのを待つという、まさに「バイオラボ」といった言葉が似合うような手法です。この方法だと自然に子株ができるのを待つ必要がないだけでなく、数がほぼ無制限。1年で100株でも1000株でも増やすことができます(言い過ぎか)。

アガベの組織培養といえばカリフォルニアにあるRancho Tissue Technologies社が有名で、社長自身も「従来の方法では数年かかっていたが1年で達成できる。しかもアガベのタネは入手しにくいことも問題」「アガベを最も効率よく増殖する方法は組織培養」と語っています

RTT社の組織培養の様子はこちらで見ることができます(バイオラボです!)。
Next frontier - Nursery Management

アガベの近縁属と違い

アガベに近い属や似た種をならべて、逆にアガベの特徴を明らかにしようという試みです。リュウゼツラン亜科にはここに挙げた以外にも多くの属があって(オリヅルランもそう)園芸的にぜんぜんメジャーじゃないものもあるので今後まったく新しい顔をして登場してくるかもしれません。

ユッカ

リュウゼツラン亜科の2大巨頭。トロピカルな観葉植物のイメージがあるユッカですが、アガベに最も近い属の1つで、アガベと同じアメリカ南部からメキシコのカラカラ砂漠にお住まいのデザートプランツ。アガベとの違いは、葉っぱが薄め、茎をよく伸ばす、そして花が毎年咲くこと(咲いても枯れません)。誰もが見たことある「青年の木」やオトコランとも呼ばれるグロリオサなどが有名です。

「青年の木」が観葉植物No.1クラスの知名度でトロピカルなイメージだけど、実はアメリカ南部やメキシコの砂漠が故郷。そう、...
フルクラエア

属としてはマイナーでほとんどアガベと同じもの扱いをされている雰囲気です。見た目もよく似ています。南米ブラジルやカリブ諸島のトロピカルな気候に適応していてアガベよりは葉っぱは薄く、ニューサイランに近い雰囲気。

マンフレダ・マンガべ

葉っぱに血のようなスポットが入るのが特徴の一族。チューベローズとも呼ばれます。近年、アガベとの属間交配種「マンガべ」が登場し、そのブラッドスポットで脚光を浴びる……はずだったのですが、2019年にすべてアガベ属に統合されたようです。見た目に強い特徴があるので、園芸的にはその名はずっと残っていくと思われます。

アガベとその近縁のマンフレダとの属間交配種で、アガベからは耐久性、対乾燥性を、マンフレダからはトゲなどの攻撃性のない...
ニューサイラン

園芸店でその大きくカラフルな葉が美しく、オーナメンタルプランツとして人気のあるニューサイランは、もともとアガベと同じリュウゼツラン科に分類されていたそっくりさん。今はマオラン属に分類されています。主な生息地はニュージーランド。

アロエ

逆に、似た雰囲気で園芸店でも隣に並んでいたりするけど、意外と遠い親戚なのがアロエ。お住まいもアロエは主にアフリカ大陸で生態系も異なります。ただ同じキジカクシ科(ユリの仲間)の多肉植物なので似ているのも当然といえば当然。実際に昔アガベは「アメリカアロエ」と呼ばれていたとか。

出典 flic.kr
ヨーグルトに、美容液に、ヤケドの軟膏に…。「あれって多肉なんですか?」と聞かれることもあるくらい、意識せずいつもそこに...
ダシリリオン・プヤ

さらに園芸的にほぼ同じジャンルなのにぜんぜん違うのがダシリリオンやプヤ。そもそもアナナス科(パイナップルやチランジアの仲間)でアガベとはまったく系統が異なります。ただ生息地が近い。つまりアロエとは逆のパターンで、もともと異なる系統のものが同じ環境で進化したので似たような雰囲気になったもの。実際にアガベにも「ダシリリオイデス」というダシリリオンに似た種がいたり、しのぎを削っているライバルです。デザートガーデンをアレンジするときには並べられたりします。

一見ヤシの木に見えるけど砂漠や山岳地帯に佇まうデザートプランツ
名前はかわいいけど、実態はトンデモナイ。南米アンデスの高山を拠点に、幅1m以上、高さ何メートルの固く鋭い葉を伸ばす、世...

アガベの人気種

街のシンボル 大型種

アガベの中には単体で3mにも達するような超巨大種があり、その強健さから日本でも炎天下の地植えで育つこともあって、各地の植物園や街中でもシンボルツリーとして植えられているのをよく見かけます。「リュウゼツラン」とその属名を冠した種もあることから、日本のアガベの原風景なんでしょうね。

フェロックス 街でも見かける巨大アガベの代名詞
竜舌蘭 属名を冠した代表種

アガベといえば「テキーラ!」と即答する飲んべぇさんもいらっしゃいますが、テキーラの原料にされるのはこうした大型種です。

エレガントな観葉植物

アガベと言うと厳つさが強調されますが、トゲが無く、優雅にカーブを描くエレガントな種もあって、観葉植物のように重宝されているコたちもいます。トゲはちょっと苦手…と思う方にもオススメしたいです。

アテナータ 観葉植物的アガベの代表種。幅広のカールした葉っぱがエレガント
ジョーホーク(メリデンシス錦) 深くカールした葉っぱに大胆なホワイトストライプ
ベネズエラ 白く縁取られた細めの葉っぱが凛々しいコ。普及率は高く、玄関先のシンボルとしてよく見かけます
デスメチアナ ホワイト 名前的にはベネズエラのバリエーションだけどジョーホークに似たタイプ
吉祥天 幅広で白銀のボディが美しすぎるアガベ。トゲトゲだけどあえてこのコーナーで紹介したい気持ちは伝えたい
美しさを競う斑入りの世界

斑入り特集ともかぶってしまうので、ここではアガベらしい代表的な斑入り種を紹介します。ゴージャスな斑入りタイプは斑入り特集をチェック!

五色万代 葉っぱが5色のストライプになる古くからある斑入り種
スーパークラウン 吉祥冠錦のさらに斑が大きく明るくなったもの
華厳 リュウゼツランの真っ白な中斑タイプ。大きくなります
吉祥天錦 上でも紹介した吉祥天の斑入りタイプ
スノウグロウ ストレートなラインが美しいブルーグローの白覆輪タイプ。個人的にめっちゃ好き
いかつさを求めて

いやいやアガベといえば厳つさでしょ。そんな強さを求めたいあなたのために強そうなアガベたちです。

マクロアカンサ 細めの葉っぱの先に黒いツメ。渋カッコいい
ユタエンシス エボリスピナ 「象牙色のツメ」の名の通り白く長いトゲが特徴
陽炎 ユタエンシスのトゲが揺らめくタイプ。コアな人気です
ホリダ 悪魔的に禍々しいトゲをまとう番犬アガベ
甲蟹 イシスメンシスのトゲが連なったタイプ。成長して連刺がなくなってもゴツゴツ厳ついフォルムになるのが魅力的
キュービック 雷神のモンスト種。カタチが崩壊した異次元のフォルム
ディープワールド チタノタの厳選種

チタノタがオテロイに改められたことをキッカケに一気に注目を集めた「チタノタ」。その生息地からいろんなタイプ違いが採取されたり、実生や品種改良が進んだ結果、現在進行系で爆発的にその種類が増えています。ただし育て方の違いで大きくカタチが変わるアガベ。そのカッコよさが本当にその個体がもつ特異性なのかは未知数です……。

ブラックアンドブルー コロンと丸いフォルムと黒いツメがクール。チタノタ人気の火付け役に
ホワイトアイス ボディの白さはトップクラス。ツメは褐色から白。
ソーラーエクリプス:
レッドキャットウィーズル ボディが赤くなるタイプ。ツメも豪快で人気が高い
黒炎 黒いツメでストレートに伸びたフォルム
フィリグリー 綴化種。扇状に広がります
ハデス(冥王) 黒く長い鋭い爪。台湾選出
シーザー 白く大きくうねったツメ。台湾選出

まとめ

オテロイの再発見の後押しもあり、コーデックスの「次に来る」ブームとして注目されているのがアガベたち。最新品種は過熱気味なのは否めませんが、古くからある種は組織培養などの量産技術も進んで、以前は何万円もした種も入手しやすい価格になってきました。丈夫で長く楽しめて、毎年ぐんぐん止めどなく大きくなっていくアガベだからこそ、長く付き合えるお気に入りの種を見つけていただけると幸いです。

出典 flic.kr
いかつい。とにかくいかつくカッコいい。大きなものは何メートルにもなる、まるでドラゴンのような風貌。花が咲いたら枯れて...

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