歩くたびにふわふわと弾むボリュームのあるロングスカートや大きくカールした巻き髪。たくさんのフリルで飾られたドレス……。なぜ人は、フリルやカールを「ゴージャス」で「エレガント」なものと捉えるのかは人類史の謎の1つですが、そんなフリルやカールを生まれながらに与えられたゴージャス&エレガントなエケベリアたちをピックアップしました。
見たまんま、葉っぱの先がくねくねとカールしたエケベリアたちのこと。実は意外と葉っぱがカールしたエケベリアの原種は少なく、その少ない原種をベースに品種改良を行っているのでフリル系エケベリアはなんとなくいくつかの系統に分けられます。
学術的に明確な理由は調べきれませんが(レタスの研究とかを調査したら出てくるかも……笑)、カールしている分、日差しを受ける面の大きさ(影の大きさ)にくらべて葉っぱの表面積が大きいので葉っぱの部分部分がダイレクトに受ける日差しを和らげる効果があるのと、葉っぱが内向きにカールすることから受けた雨を株の中心により集めやすくする役割があると思われます。
フリルエケベリアといえばまず思い浮かべる大御所「高砂の翁」様。このタイプのフリルエケベリアは巨大化するのが大きな特徴で、最大30cm~50cmになるようなコもいます。その理由は「ギガンテア」という大型の原種の血を受け継いでいるから。不思議なのはギガンテアはさほど強くカールしているコではないことで、この強いカールはどこから来たのか? もう1種「オブツシフォリア」というカールの強い原種もあって「イブニングドレス」はこの系統かなと思われます。
「~ライト」という名前が並んでいますが、これらはエケベリア育種家の大御所 Dick Wright 氏とそのご家族の名前。その大御所が満を持して自身や家族の名前を与えたということから、いかにフリル系エケベリアを特別なものと考えていたかわかりますよね。
全米No.1の巨大農園 Altman Plants からもフリル系がいくつかリリースされています。まだ日本に入ってきていない品種もあるので今後の登場に期待しています。
高砂の翁系とはぜんぜん顔が違う、細かく波打つ小型なコたちもよく目にします。こちらは由来ははっきりしていて、原種「シャビアナ」の血統。ただ、フリルが意外と受け継がれにくいようで、シャビアナのコはたくさんいますがその多くにフリルはありません。
はっきりと「フリル」や「カール」とは言い切れないけど、ほんのり葉っぱがうねっているタイプ。もともとフリル系を親に持つけどその特徴が薄れたものや、逆になぜか葉っぱがうねるようになったものなど由来はいろいろです。
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古くからあるフリルタイプは高砂の翁とシャビアナですが、最近になってそれに属さない個性的なフリルも登場してきました。
僕の個人的な肌感覚なんですが、フリル系のエケベリアって正直あまり人気ありませんよね。いちばんの理由は「デカイ、幹立ち、広がって収まりが悪い」からコンパクトでかわいいコたちが重宝されるエケベリア界ではちょっと敬遠されている感。でも、個人的にはむっちゃ好き!なんですよ。この大きさ、インパクト、色柄の美しさ。一株置いておくだけで多肉ガーデンが華やかに……(っていう妄想。うちにはまだデカベリアさんがいないのです)。
今年はクリスペイトビューティという新顔さんも加わって、今まで虐げられてきたフリル系が逆襲……じゃなかった、評価が高まって一大ブーム到来の予感です。ここに紹介しきれなかったフリル系エケベリアはまだまだたくさんあります。今から要チェックですよ!