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PUKUBOOK Succulent picture book

2022.4.22 そろそろ見分けられるようになりたい! 春にたくさん出回るグランドカバータイプセダムを徹底比較

暑くもなく寒くもない「心地いい」としか表現しようのない清々しいある晴れた日に、ちょっと離れたところにある洒落た園芸店にドライブ。やっぱり園芸シーズンは違うなぁ、たくさんの元気いっぱいの苗たちが「植えて」「植えて」の大合唱。ほら、多肉コーナーも新鮮なかわいいセダムたちがこんなにたくさん……。

と思ったところでハタと思っちゃったんですよね。「こいつら、なんでこんなに種類あるの?」「そもそも、似たようなのばっかりやん」「何が違うの?」って。

火がついてしまったら止められない。そんな似たりよったりのセダムちゃんたちを徹底調査! 今日からは全部見分けられるようになって、自分の中での最強のかわいいセダムはコレって決めてやるんだ!!

そんなわけで、今回のコラムはひたすら品種紹介ばかりになりますが、ここへきて過去最高に長く情報量の多いコラムになりそうです。覚悟を決めて読み込んでやる!ではなく、さらりと流すように読んでいただければ幸いです

園芸店に並んでいたセダムたち

日本代表のツブセダム「メノマンネングサ」

グランドカバー系セダムとしてはもっともよく見かけるタイプである小さく細いツブ状の葉っぱを細い枝にまとわせてくるくる伸ばしているコたち。このコたちはルーツ的に大きく2つのグループに分けることができて、その1つ、まっさきに押さえておきたいのがこの「メノマンネングサ」。多肉としては珍しい日本原産のセダムです。黄色い花を咲かせます。

メノマンネングサ 基本種として掲載しておきますが、園芸店で見かけることはほぼありません(写真は次の黄金細場万年草の夏カラー)
トーキョーサン(黄金細葉万年草) こちらがもっともよく見かけるタイプ。冬から春に黄金色に紅葉するのが特徴で、ゴールデンカーペットやドリームスターと呼ばれることもあります
モリムラマンネングサ がっしりとした太く固い葉っぱと濃い緑色。黄金細葉万年草はこれのカラバリというウワサ
ミルクゥージ ところどころ白い葉っぱが出てくる斑入りタイプ。葉っぱは柔らかく比較的夏の日照りに弱いので木陰などマイルドな環境へ

ヨーロッパ代表のツブセダム「アルブム」

メノマンネングサにとてもよく似たツブセダムだけど、こちらはヨーロッパ代表チーム。園芸のメッカだけにいろんな園芸品種が流通しています。花が白いのが最大の見分けポイント。

白花万年草 基本種として掲載しておきますが、こちらも園芸店ではほぼ見かけません
コーラルカーペット こちらが最もよく見かけるタイプ。冬には真っ赤に色づき、春に咲く白い花とのコントラストが見事
ヒレブランティ 葉っぱが長くボリュームのあるタイプ
ベッラ デ インヴェルノ 新芽が白くなる曙斑タイプ
アルブム ブラックベリー 赤がくすんで黒っぽく見えるカラバリ
フロムフランス 他のアルブムとは見た目の印象がだいぶ違う、葉っぱが太く大きなムチムチタイプ

よく似た関連種

そのメノマンネングサ/アルブムに似た細くて小さいツブセダムたち。

ミモザ 黄色がチャーミングな園芸品種。何かをそう読んでいるんだろうけど正体未明。日本チームの細場黄金万年草かもしれない
ミルキーウェイ くすんだピンクに色づく園芸品種。こちらも正体未明。花が白いのでヨーロッパチームのアルブム系じゃないかと推定
ステフコ 茎が太めで紅葉期には先に赤くなり、内側が燃えるような色になるのが特徴。東ヨーロッパのご出身
アポレイポン ギリシャにお住まいのアルブムによく似たタイプで黄色い花を咲かせます
パリダム アルブムより大きめで、少しくすんだブルーグレイの細長い葉っぱを伸ばすタイプ
ヒスパニクム 強いて言えば葉っぱが多めでつぶが短く、茎の1本1本がお団子のようにまとまっています。イタリアから中東にお住まい
ヒスパニクム プルプレア 他のつぶセダムは赤系に色づくところ、紫に色づくカラバリ
ルベンス 葉っぱが長く先が少し膨らんでいるタイプ。パリダムに似ています

細く立ち上がるタイプ

ツブセダムたちは少し伸ばしては重さに耐えきれず倒れて横に伸びていくのに対し、葉っぱが短く軽量化されているので縦ラインが強調されたタイプ。とは言えぐんぐん縦に伸びていくと言うほどではありません。

アクレアウレウム 茎が殆ど見えないウロコ状の短い葉っぱをまといながら縦に伸びるセダム。アウレウムは新芽が白くなる曙斑の園芸品種
六条万年草 アクレに似ているけど葉っぱが短く密になっていて、名前のとおり「六角形」を描きながらスパイラル状に伸びていくのが特徴。黄色い花を咲かせます。

平たく広がるタイプ

グラウコフィラム アエオニウムの明鏡のように茎をほとんど伸ばさず平たい円状に葉っぱを広げる個性派セダム

もう1種の日本代表「マキノイ」

日本を代表するメジャー級セダムは細葉万年草の他にもう1種あってそれが「丸葉万年草」と呼ばれるマキノイ。名前も植物学者である牧野富太郎さんに由来しています。2023年の朝ドラの主人公なので来年はマキノイが大ブレイクな予感。

丸葉万年草 オーソドックスなグリーンの葉っぱ
黄金丸葉万年草 葉っぱが黄色いカラバリ
覆輪丸葉万年草 葉っぱの縁が白くなる斑入りタイプ
テトラ(大葉丸葉万年草) マキノイによく似た中国原産のセダム。茎の先の葉っぱが平坦に見えるマキノイよりも立体感があってコーカサスキリンソウに近い雰囲気

コロコロまるい玉葉セダム「ダシフィルム」

葉っぱが細いからツンツンしたイメージのあるツブセダムたちと違い、葉っぱが太いからコロコロした印象のセダム。「パープルヘイズ」が有名ですが、他にもいろんなバリエーションがある大家族ダシフィルムファミリーです。

ダシフィルム 基本種として掲載していますが「ダシフィルム」はバリエーションがとても多く、単なる「ダシフィルム」としては流通することはなさそうです
ダシフィルム リファレンス 葉っぱが色んな方向に伸びてロゼットになるタイプ、かなぁ。わりとオーソドックスなタイプ
パープルヘイズ 紅葉期に深い紫色になる人気の園芸品種
マジョール 大型種。ロゼットのように葉を広げながらもりもり積み上がっていくので、小さな小さなビアホップ Sedum burrito みたいな印象。
出典 aspeco.net
玉蛋白 産毛でモケモケになるタイプ
ブレビフォリウム ダシフィルムに似ているけどより小型
そよ風の天使 ブレビフォリウムの木立タイプ
斑入りタイトゴメ 日本原産。葉っぱが幅広でコロコロしているのでダシフィルムと並べてみたけど、生長した姿としてはツブセダム系でフロムフランスあたりに似た雰囲気。ブチ柄の斑入りタイプをよく見かけます
オカタイトゴメ タイトゴメに似ているけど葉っぱにカドがあってカチカチした印象

長いツンとした葉っぱを伸ばすタイプ

ここまでのセダムは葉っぱが短くて伸ばした茎がそのまま太くなったような印象だったけど、葉っぱが長く、ちゃんと葉っぱらしく見えるようなタイプ。

姫笹 日本原産のセダム。メノマンネングサと対になるオノマンネングサの和名を持つ。けど葉っぱは柔らかくて弱々しい雰囲気。
ツルマンネングサ 中国原産だけど日本に帰化していてそのへんの草むらに普通に生えている実は最も身近な多肉植物。
メキシコマンネングサ 葉っぱはツンと尖っていてプラスチックのように堅くバサバサとした質感。これも街によっては帰化していてその辺に生えていることがあります
レフレクサム メキシコマンネングサに似ているけど、葉っぱの間隔が短く1本のフサのように見えるタイプ
カメレオン そのレフレクサムの斑入りタイプ

カラーリーフ的扱いのコーカサスキリンソウ

ほんのり波打つ丸くて薄い葉っぱを積み重ねるグランドカバータイプのセダム。葉っぱが薄いので多肉っぽくありませんが、生命力は多肉そのもので屋上緑化に利用されるほど。東ヨーロッパから中東が本拠地で、ヨーロッパにも近いからか園芸品種もたくさんあります(けど日本にはあまり入ってきていません)。

ドラゴンズブラッド もっとも有名な真っ赤に色づくタイプ
トリカラー グリーン、ホワイト、ピンクの3色に色づくタイプ
ステファニーゴールド カラーはオーソドックスだけど長くて波打つ葉っぱが個性的なタイプ
ブードゥー 最近日本でも見かけるようになった品種。ドラゴンズブラッドとの違いがわからない……

実はクラッスラなグランドカバーたち

園芸店には「セダム各種」と札が立っていますが中にはセダムじゃない品種も紛れ込んでいます。生長のタイプも管理方法も一緒なんだからいいじゃない。そんな園芸愛好家目線のゆるい分類に好感が持てます。

リトルミッシー 小さい斑入り葉っぱにピンクの「ステッチ」が入る超かわいいグランドカバー。1家に1鉢持ってて欲しい。
ペルシダ そのリトルミッシーの超大型タイプ。海外で「キャリコキトン」と呼ばれているのはこれかもしれない
サルメントーサ 木立ちするし葉っぱも大きいし、一見「樹木の苗では?」と思っちゃうけどセダムコーナーに並んでいるコ。寄植えに使うとアクセントになっていい感じと思います
レモータ モケモケの米粒をもりもり実らせるかわいいコ。冬に紫色に色づくのも神秘的
ブロウメアナ 細いけどしなやかな茎を伸ばし、小さいふわふわの葉をつける、わたあめのような浮遊感のある多肉さん
若緑(ムスコーサ) 今までずーっと横に伸びていく子たちを紹介してきましたが(グランドカバー特集ですから)、同じセダムコーナーに置いてあるけど、縦に縦にニョキニョキ伸びていくコ。30cmくらいは伸びます。

.

まとめ

いやー。勉強しました。ここ1週間くらいはずーーっとこのセダムたちのことを調べたりまとめたりしていたような気がします。

せっかく並べてみたんだし、自分の中での最強のかわいいセダムはコレって決めてやる!!と言ってみたので、本当に独断と偏見で選ばせていただくとすると、やっぱりコレかな。

リトルミッシー
パリダム

ステッチが最強に可愛いリトルミッシーと、ブルーグレイの長い葉っぱが相性良さげな2種。

トリカラー
トーキョーサン(黄金細葉万年草)

個性的な多肉ガーデンにしたいなら、個性的な3色カラーとイエローゴールドの組み合わせ。

パープルヘイズ
コーラルカーペット

シックな雰囲気のガーデンにはディープパープルとワインレッドのカラーコンビネーション。

と、個性的な1種とオーソドックスなグランドカバー1種を3パターンを選んでみました。

こうして並べてみて、選んでみて、最終的にいたった結論は1つです。

出会った多肉の中でいちばん「これ好き!」と直感で思ったコを選んでください。あんまり細かい違いとか気にしなくていいと思いますよ!(この記事なんだったん?w)

出典 flic.kr
葉っぱは小さく背丈も低いけど、成長も早くどんどん延びて拡がっていくため、グランドカバーとしても使われます。そのイメー...

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