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PUKUBOOK Succulent picture book

2023.3.24 多肉植物のラベルに書いてる「実生」って、なにそれすごいの?おいしいの?

多肉植物を買い求めているとよく見かける「実生」と書いてあるラベル。わざわざ書いてあるということは、きっと「高級」とか「特選品」のようにスペシャルな良い品に違いないと思ったりしていませんか。今回はそんな「実生」とは何なのか?をざっくり解説していきます。

結論だけ先にいうと、ラベルに書かれた「実生」の意味は、「親と全く同じになるとは限りません」という注意書きです。

「実生」とは

もっともカンタンな多肉植物の1つ「アガベ」の実生

「実生(みしょう)」とは、正確には「タネから生まれた苗」のこと。もともと植物学用語で、英語では Seedling (それが日本に入ってきて訳として造語したのが「実生」という順番かも知れませんね)。園芸用語としてはそこから派生して「タネから増やした(後にりっぱに生長した)株のこと」や「タネから新しい株をつくること・行為」も指しています(行為に対応する正確な専門用語は「種子繁殖 seed propagation」と言います)。

逆に、実生じゃないとはどういうことかというと、多肉植物で言うと葉挿しやカキコのように、親株の本体から直接新しい株を育てることで、専門用語で「栄養繁殖 vegetative propagation」。

※ちなみに英語で「seedling」という単語は「実生」という意味以外に、繁殖方法によらず単に「幼い苗木」という意味もあります。
※あと、英語で「germination」というと「発芽」で、植物を主体とした用語というか、現象としての用語。基本的には理科とか自然科学で使う用語ですが「発芽させる」といった意味で使うこともあります。

実生と実生じゃない苗の違い
エケベリア アガボイデスの実生苗たち。品種にもよりますが実生は個体差が出てきます

実生の最大のポイントは「受粉」していることです。つまりオスとメスそれぞれの遺伝子を持ち寄って組み替えて新しい遺伝子を持った個体を生むという、生命の神秘とも言える高等プロセスを経ているかどうか。なので実生は、親とは違う個体が生まれます。植物の多くは雄しべと雌しべを1つの同じ花の中に持ち、1つの個体だけでタネを作るので「父と母が同じ個体なら生まれる子供もそっくり同じじゃね?」と思いがちですが、実はそれでも全く同じにはなりません。逆に栄養繁殖で生まれた子は、親と全く同じ遺伝子を持つので完全なクローンになります。

葉挿しで栄養繁殖された虹の玉。基本的に全部同じ顔

つまりまとめると、実生は個体差があり、それ以外は個体差がないということ。

実生っていいの?わるいの?

というわけで、園芸ラベルに「実生」と書いてあった場合、それが意味するところは「親と全く同じになるとは限りません」という注意書きです。一概にそれが、良いとか悪いとかいうことではありません。

親とどのくらい異なる顔になるかは、品種によります。理屈は端折りますが、交配種の実生や、自家受粉しない品種(例えばサボテンのアストロフィツムなど)は個体差が激しくなりがちですが、多くの原種の自家受粉では個体差が出にくくなっています。

もちろん実生は栄養繁殖と比べて育てるのに時間がかかります。ただ、時間はかかるけど数が桁違いに増やせるので単価的には決して高くなるとは限りません。逆に親と同じにならないから品質保証が弱く割安になる圧力もかかります。実生だから高いとうことはなくてケースバイケースと思います。

実生じゃないものとの違い

葉挿し・カキコ

多くの多肉植物は実際に葉挿しやカキコで増やします。これは親と全く同じ顔になるし、親のパワーを貰っているので生長も早く、多肉植物の苗が手頃な価格で買える理由の1つになっています。

組織培養(メリクロン)
出典 flic.kr
組織培養の様子

最終的には葉挿しやカキコと同じですが、葉挿しやカキコは自然に起こるのに対し、組織培養は科学の力でそれを力技で、一度に大量に起こすテクノロジー。親と全く同じクローンを量産することができます。

現地球・山穫り

実生と対になる用語としてラベルにもよく登場するワード。これは人間がイチから育てたものではなく、野生に植わっていた株をそのまま引っこ抜いてきた株ということ。実生と異なり、新品種でもイキナリ大きな株で流通することや、育った環境に影響を受けたワイルドな姿をしていますが、乱獲や踏み荒らしが現地の環境破壊に繋がることが問題視されることもあります。

自根・継ぎ降ろし

正確には実生と対になる言葉じゃなくて、実生かどうかとは関係なくその後の発育管理の仕方に由来するワードだけど、実生のようにラベルに登場するので解説。多くのサボテンは生長を促すために、実生で大きくなってきた株を「接ぎ木」して育てることがありますが、「自根」は接ぎ木をせずに本来の自分の根っこだけで育てたというもので「時間かかってますよ」というメッセージ。「継ぎ降ろし」は一見すると自根に見えるけど、接ぎ木で育ったものをカットして自根みたいに仕立てたものということ。

まとめ

2021年現在、最も人気のある多肉植物のひとつである「アガベ」。レアな人気種は子苗でも万単位で取引されているのは傍目で見...
実生ライフ楽しんでいますか?! と「なにをとつぜん」な書き出しでスタートした訳は、2年前にアガベの実生についてコラムを書...

人気のアガベとエケベリアで実際に「実生」している特集を貼り付けておきます。

多肉植物の実生は「タネを手に入れる」のが一番のハードルだけど、種を手に入れてしまえばどれも結構カンタンです。かわいい苗が格安単価で超大量に入手できてしまう実生の魅力。……あ、一番のハードルってもしかして、その大量の苗をいったいその後どうしたらいいかっていう問題の方だったりします?

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