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2023.5.12 日本の植物園ランキングNo.1 !? 「高知県立牧野植物園」に行ってきましたレポート

前回コラムの通り「エリオクエストさんにケープバルブを教わりに行く」ためだけにレンタカーで高知にひとっ走りしてきましたが、いやいやせっかく高知に行ったんだから他にも行くべきところはあるだろう、と。ちょうど朝ドラ『らんまん』で盛り上がっているこのタイミングで、その主人公である牧野富太郎さんの名を冠した植物園「牧野植物園」に行ってきたのでレポートします。

結論から言うと、個人的な 「日本の植物園ランキング」 堂々の1位間違いなし でした。

牧野富太郎って誰?という方は下記コラムで復習を。

朝ドラ観てますか?!と偉そうに言うワタクシは、以前やっていた『マッサン』に夢中になっていたとき以来ほぼ観ていません。...

高知県立牧野植物園とは?

シンボルになっているタンワンマダケとそれを囲む牧野富太郎記念館 本館

その名の通り、植物学者牧野富太郎さんの功績を称えるために地元の高知市の街中に造営された県立の植物園です。開園は牧野さんが亡くなった翌年の1958年。五台山という、ちょっとした山の上にあって、平地に造営されることが多いほかの植物園とは一線を画すロケーション。さらにシンボルとなっている「牧野富太郎記念館」は1999年に新設された施設、2008年に「50周年記念庭園」、2010年には温室をリニューアルと、歴史があるだけでなく、近年どんどん新しくなっている最新の植物園でもあります。

最初は「せっかく高知に来たんだからついでに……」程度に思っていたのに、訪れてみたらどれだけ失礼だったのか思い知らされました。個人的な「日本の植物園ランキング」は堂々1位で間違いない。

牧野植物園はココが違う

では具体的に、どういうところがすごいのか、個人的に感じたポイントを挙げてみます。

山の上に造営された起伏の激しい敷地
見渡すとそこは勾配。敷地内にはほとんど平地がありません
庭園内でも舗装されていない道があるのでヒールはNG
崖に近いような急勾配の山道もあります(正規ルートじゃない脇道なので歩かなくてもいいけど)

歩いてみたらわかるのが、起伏の激しさ。多くの植物園は平地にあって歩きやすいのに、ここ牧野植物園はまるで「山道」。隣のエリアに移動するのに坂、階段、ときどき道なき道を歩かされるので、絶対にヒールなんてNG。スニーカーどころかトレッキングシューズのほうが良いかもしれません。

起伏が激しい敷地だから谷に流れる小川なんて環境が再現できる

けど、それって、日本の植物を展示するのにはむちゃくちゃリアルで適した環境なんですよね。地形が入り組んでいるので、林道、小川、急斜面、沼、湿地などなどいろんな環境を作ることができ、いろんな植生の植物を植えることができます。こんなに多様な生態系の植物を、現地に近い環境で鑑賞できる植物園を僕は他に知りません。

小高い山の上だから高知の街並みが一望できる

牧野さん自身が生前に「植物園を造るなら五台山がええ」とおっしゃったそうで、なるほど確かに、こんな多彩な環境を作るのに適していることを見通していたんでしょうね。実際に植物が生きる環境をその足でたくさん見てきた牧野さんらしい大胆な発想です。

まるで美術館…… 内藤廣による美しい記念館

正直言うと、植物園って野暮ったいところが多いです。植物や庭園がメインコンテンツなのはわかります。とはいえ、建築&デザイン好きな僕としてはちょっと物足りないんですよね。

近代建築とナチュラルな庭園のコンポジション(牧野富太郎記念館 展示館)

そこへ登場するこの「牧野富太郎記念館」。そもそも本当に「ミュージアム」だということもあるかもしれませんが、なんと言おうとこんなに美しい建築が併設されている植物園は類を見ません(もちろん新宿御苑があるけど、また別格なので比べちゃダメかなと)。それもそのはず、著名な建築家である内藤廣先生による設計だとか。

展示館:館内には牧野さんの足跡を辿れる膨大な展示あり
展示館:まるで自然の山道のように作り込まれた感がなく、それでいて美しい中庭
本館:エントランス
本館:レストランのテラス席
スエコザサ

#ちなみに以前のコラムでちらっと訪れていた「練馬区立牧野記念庭園」も内藤先生の設計です。高知駅もそうなんですね。

記念館の中に造営された庭園も、いわゆる日本庭園とは趣が違って、着飾らない素朴で自然なのに、ちゃんと美しさ感じるレイアウトで、ここも見応えあります。テラス席から水辺の風景も見えるレストランもあって、抜群のコストパフォーマンスで優雅なひとときを過ごすことができます。

ここ、ほんとに植物園ですか?

展示札の量に圧倒! 展示植物の膨大な種類と数

いえいえ、植物園です。もちろん「植物園 No.1」と言っているのは、建築がすごいからではありません。最も地味で、最も植物園として大切なこと。それは、展示している植物の、ガイド、解説、キュレーションがちゃんとしているか?ということです。

土佐の植物コーナー。展示札の数に圧倒
「咲いてます」ボード。園内をつけたり外したりして回るスタッフさんの努力の賜物

正門から入っていくと一番最初に目につくのは、地元高知の植物たち。驚くべきはその「名札」の量。それに、ちゃんと「咲いてます」で開花をお知らせしているし、主要な植物にはしっかりとした解説ボードもあります。触ってOKのコーナーもあるし、朝ドラ『らんまん』関連の企画展示もあります。

多肉植物の解説。「さわって手触りを確かめてみてね」とありがたいお申し出。もちろんサボテンは無いのでご安心を
人の手の届かなさそうな谷にあるキチンと刈り込まれたツツジ(どうやってメンテしてるんだろう)

ただでさえ起伏の激しい広い園内を、どんだけ密に、細やかに多様な植物を植えて、維持管理して、それをお客さんに見てもらって理解してもらおうと努めているのか。その努力にただただ脱帽するしかありません。

サカキカズラ
キエビネ
ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)
ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)
ちゃんと「植物園らしいお花畑」もあります

牧野植物園の温室

牧野植物園の温室

多肉植物LOVERとしてはやはり温室は外せません。牧野植物園の温室は南門から入ってすぐのところ。2010年にリニューアルしていて新宿御苑と並ぶ最新施設。写真からも解かるようにむちゃくちゃ高さがあり、外の展示と同じように高低差を活かした順路でジャングル体験のような楽しさがあります。広さ自体は新宿御苑よりちょっと広いくらいでゆっくり観て30~40分くらいでしょうか。

高さのある温室(2Fくらいのフロアから撮影しています)

牧野植物園の多肉植物

定番から、定番と思わせておいてちょっと珍しい品種まで。どんな植物園に行っても新しい出会いがあります。

カランコエ 月兎耳

こちらは温室ではなく屋外の「触ってみよう」コーナー。たしかにモケモケの植物は触ってみたくなりますよね。

アガベ ケルチョベイ

温室の近く。外から見えるところに地植えされたケルチョベイ。

ユーフォルビア ホワイトゴースト
アガベ サイザル
アデニア グロボーサ
アロエ マルロッティ(鬼切丸)
竜血樹 1mくらいと大きいけどこれでも幼木

温室入口近くにある乾燥地帯の植物コーナー。デカいです。天井いっぱいにまで生長したグロボーザとホワイトゴースト。こんなに大きく生長しているのを観たのは初めて。

ガステリア 聖牛殿錦
ハオルチア シンビフォルミス
ハオルチア 瑠璃殿
ハオルチア 十二の巻

その足元に根付く小型の多肉植物。定番種ですが、定番種こそきちんと植物園で管理して欲しいありがた案件ですよね。

パロジア 英冠玉
フェロカクタス 黄彩玉
フェロカクタス 刺無王冠竜

サボテンたち。数は少ないけどサイズも大きく見応えあります。

キルキー プルクラ
サンスベリア グラキリス
サンスベリア トリファスキアタ アサヒ

サンセベリアが種類豊富にたくさん展示されていました。見たことない品種も。

チランジア ウスネオイデス

温室は蘭と熱帯植物が8割くらいで多肉植物はちょっと少なめ。その熱帯植物コーナーにはチランジアやフリーセアがいたるところに。ネオゲレリアなどのタンクブロメリアもよく見かけました。

アクセス

結構ガチな山道を登っていきます

牧野植物園は高知市の中心部からちょっと離れた五台山の上にあって、結構な山道を登るので自家用車またはバスがオススメです。駐車場は200台あって無料。バスは600円で1時間に1本。入場料は大人730円で高校生まで無料です。

まとめ

実は当初は開園(9:00AM)から小一時間で次の目的地なんて計画を立てていたんですが、気づいたらランチタイムを過ぎていて(滞在時間4時間弱)次の目的地を完全スルーする羽目に。もちろん撮ってきた写真やレポートしたいことはもっともっとあるのですが、それは次回「高知編 後編」でお伝えします。

「エリオクエストさんにケープバルブを教わりに行く」から続く高知編もいよいよ今回で最終回。と言っても今回は多肉植物色は...

植物園の良いところは季節によってガラリとその表情を変えること。これだけの植物と環境が用意された植物園ならなおさらです。また別の季節に訪れてみたいなーと思いました。

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