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PUKUBOOK Succulent picture book

2025.10.3 いつか、迎えられる日が来るのかもしれない――憧れてるけどすぐに買わないサボテンの個人的「ウィッシュリスト」

植物業界はどんな市場の例に漏れず、トレンドや流行り、栄枯盛衰がありますが、そんな世の中の浮き沈みなんてお構い無しに、ずっと昔からほとんど評価が変わらない世界があります。それが「サボテン」。もちろんサボテンの中にもニューフェイスもあれば流行り廃りもあるにはあるんですが、他の植物に比べると、振幅も周期も段違いで動かない。特に昔から評価されているサボテンは、今も変わらず評価され続けている。

どんなサボテンがそういうサボテンかはだいたい把握しているので買い集めればいいじゃんと思うんですが、個人的に、そういうのはあえて買わずにずっと眺めているだけにしているんですよね。「自分なんかが恐れ多い」っていうのが一番の理由です。ただ、ときどき、ごくまれに、「そろそろお迎えしてもいいんじゃないか?」って思うことがある。そのときに見るのがこの「ウィッシュリスト」。

今回はそんな個人的に、ずっと評価が変わらない、いつか手に入れたいと思ってるサボテンのリストです。

アストロフィツム 般若系ハイブリッド

スーパークラシスピナム
鶴鳳玉

実はこのウィッシュリストを考えるきっかけになったのがこれ。アストロフィツムというとカブト A. asteriasランポー A. myriostigma 'Onzuka' が人気で定番、ウィッシュリストとしても間違いない存在なんですが、そういうメジャーなコではなく、この手のサボテンを山城愛仙園さんで見かけて、最初はちょっと気に留まったくらいだったのに、何度か通ううちに忘れられない存在になって、でも普段は電車でいくから持って帰れなくて。いざ車で行けたとき(ちょうどコロナ禍で電車が使いづらかったころですね)、念願かなって連れて帰ることができたんです。

そういう、ほしいと思ったときにすぐ買うんじゃなくて、何度も想い続けてようやくお迎えできたのが、とても貴重な体験だったなと思ったのが、この「ウィッシュリスト」を考えるきっかけになりました。

エキノカクタス 雷帝

エキノカクタス 雷帝

高級サボテンといえば黒王丸が人気ですが、ブルーグレイのボディに赤黒いツメという近いビジュアルで、個人的にとても好きなのが「雷帝」。山城愛仙園さんでよく見かけますが、青年株になると本当に良いお値段がします。さらに面白いのが、山城愛仙園さん以外で見かける「雷帝」と姿が違うこと。刺の力強さが段違いで、まさに「血統」の違いを感じさせます。何度も通っていたときたまたま、小さいからとお手頃価格で出ていたので、思い切ってお迎えしました。同じように立派に育つかどうかはわかりませんが、それもまた楽しみのひとつです。

お迎えしてから数年たちますが、見た目はほとんど変わっていないように思います。山城愛仙園の店主さん曰く「そんなもん20年かかるわ」とのことでした。

アリオカルプス 牡丹系

竜角牡丹
黒牡丹

アリオカルプスには大きく2種類あって、1つは小さいコ。竜角牡丹は「ハビタットスタイル」の教本にステキな作例があって、それに憧れて探していました。入手できるまでスパンはありましたが、いい感じにレイアウトできて気に入っています。

これら小さなアリオカルプスたちはどれも結構良いお値段ですが、その成長スピードを実感すると、なるほどです。うちに来てから何年か立ちますが、ほとんど姿が変わっていませんからね……。

「この植物は日本で育てるとこうだけど本来…」「自生地では…」 何度この言葉を繰り返してきたことか。多肉植物図鑑を編集した...

ユーベルマニア ペクチニフェラ錦

ペクチニフェラ錦
ユーベルマニア ペクチニフェラ カッコいいイケメンサボテンといえば個人的に真っ先にイメージするのがこのペクチニフェラ。ワイルド&クールなビジュアルです

今回のコラムを書くきっかけになったのがこちら。そういえば自分はサボテンを選ぶとき、頭の中にリストを用意しているなと気づいたんですよね。ペクチニフェラも初期の頃からずっと憧れでしたが、高価でなかなか入手のきっかけがありません。でもペクチニフェラを入手したときは決してこれを買おうと思っていたわけじゃなくて、コレクションが停滞していたから「なんでもいいからひとつ買って帰ろう。なにがいい?」と考えたときに浮かんだのがペクチニフェラだったという。

何年も悩んでいたのに、いざ買うと決めたら30分。これもまた出会いの妙だと思います。

アズテキウムとゲオヒントニア

アズテキウム 紅籠 下記2品種より先行して発見・流通していたレアサボテン
アズテキウム ヒントニー わりと近年見つかった新品種というのと生長の遅さから価格の下がらない高級サボテンの代名詞
ゲオヒントニア メキシカーナ ヒントニーとペアで見つかった同等の高級サボテン

当初は比較的発見年が新しく目新しさもあって高級品種と思われていましたが、結局成長の遅さや増やしにくさがわかってきて高値のまま推移しそう。ビジュアルがどれも個性的で、サボテン始めたての方でも熟練の方でもその所有欲を満たしてくれるコであるのは間違いないとは想いつつ、うちではまだ憧れで見ているだけの存在です。

黒王丸

コピアポア 黒王丸 高級サボテンと言うとまっさきに名前が上がるセレブリティ

「未だにコピアポアの現地球を称賛するなんて……」といった声を聞くことはあります。自分もコラムでその問題点を書いていますので実情は把握しているつもりです。ただ、それでも、いやそれだからこそ言いたい。ウィッシュリストの最後は「黒王丸の現地球」であると。

ほんとーに、これこそまさに「自分なんかが恐れ多い」でしかありません。現地球の黒王丸は今はもう採取流通できないものなので、間違っても「新しく現地から取ってきた株が欲しい」なんてことを言っても思ってもダメですよ。新しく流通しないということは、今日本にある「黒王丸の現地球」は何十年も前に入ってきた株を、何十年もの間、コレクターや趣味家の方が大切に守ってきた株ということです。原木は減ることはあっても増えることはありません。こんなにも、大切にしなければいけない貴重な財産で資産で資源な植物が他にあるでしょうか? 間違っても、所有して腐らせたなんて許されません。そんなこと絶対に起こさない。貴重な資産を次世代に繋いでいける確実な技術と環境があると自信を持って言えない限り、決して所有していいものではありません。

壮大なのは、人間の寿命よりもサボテンの寿命のほうが遥かに長いということです。今は誰かが所有するサボテンも、いつかは次の世代に引き継いでいなかればいけない。たまに流通する「黒王丸の現地球」はそういう世代交代というか「引き継ぎの儀」なんだと思います。そこに……自分が?って、それって究極の目標じゃないですか?

暑中お見舞い申し上げます。今シーズンは「PUKUBOOK SUCCULENTS」を夏休み中。多肉のお世話も少しお休みして、そのぶん手つか...

番外編 山城愛仙園さんの「世界の図」

山城愛仙園さんの世界の図

「世界の図」自体は普及種でいろんなところで見かけますが、こんなにも斑がみごとな個体は見たことありません。そこそこのサイズにならないと斑の入り方は十分確認できないこともありますし、そこそこのサイズの世界の図なんて置くところがないので、基本的に眺めるだけの存在です。

まとめ

リストと言ってもまずはこれだけ……。また勉強を進めていろいろわかってきたら追加していくと思います。リストがあまりに長くなったらサボテン管理ハウスを建立することになるかもしれませんが。

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