いきなり不躾ですが「ブームは過ぎ去った」「昔の値段じゃ売れなくなった」「オワコンだ」なんて囁かれているとかいないというのが多肉植物ハオルチアの現状。たしかに5~6年前に「1株100万円を超す高級多肉植物」なんてニュース(定期的に流れる話題)の主役はハオルチアでした。そしてたしかに、あの頃のハオルチアは一部普及種を除いてどれもこれもめっちゃ高くてなかなか手出しできる世界ではありませんでした。
が、それを思うと今は「え? これがこの値段でいいんですか?!」と驚くことばかり。これはホントに嘆かわしいことなんでしょうか? いやいや、逆に、こんなにも多様で美しくてかわいい品種がお手頃価格で買えるんだから、それってめっちゃ楽しい世界ってことじゃないですか?!
今回は、そんな昔は高かったけど今は500円~2,000円で買える驚きの「プチプライスハオルチア」を紹介します。ハオルチアの世界の多様性と手軽さに気づいていただき、1人でも多くの人が「沼る」きっかけになればと願ってやみません。
ハオルチアの生態にも触れた1回目のハオルチア特集はこちら。
ハオルチアというと今も昔もトップクラスに人気なのが「オブツーサ」。僕自身、多肉植物をまったく知らない人にまずオススメしているのがこのオブツーサ。ただ「オブツーサ」と言ってもたくさんあるので、その中で特にオススメで間違いのないものをセレクトします。
ちなみに「ギフトにオススメしたい多肉」の1位に推薦させていただいたこともあります。
ハオルチアに限らず「斑入り」というと、一部の普及種を除いてどれもこれもお高いイメージでしたが、プチプラでも手に入る「斑入り」も登場してきました。
ホームセンターに行くと「ジュエルプランツ」や「クリスタルプランツ」的なくくりでキラキラ窓のハオルチアたちがたくさん並んでいることがありますが、そんな中に昔はむっちゃ高かったアレやコレが紛れ込んでいて「まじで?」と思うことがあります。そんなうっかり紛れさせておくには惜しい、見つけたらすぐ買い物かごに入れたい美しいコをピックアップ。
「昔は高かった……」なんてセリフはあまり好きではありませんが(この特集でも何回か使ってますが)、そんなセリフが最もよく似合うコたちを紹介します。生長が遅く子株を吹かないから値段が下がらないはずだったコたちですら、その技術の進歩で普及種価格に向かう。その勢いは止められない。
ハオルチアが評価された大きな理由の1つはその多種多様なハイブリッドたち。出たての頃はどれも高価でしたが、その中で人気や知名度のある品種は増殖や普及が進んで手に入れやすくなりました(逆に言えば淘汰が進んで優良品種だけ残っているとも言えなくもない)。同じ品種が同じ価格でいつでも手に入るわけではなく、逆に同じ価格帯で手に入るハオルチアは他にもたくさんあります。これらの品種を探しにいくというよりも、今まであまり見る機会のなかったハオルチアコーナーに足を運び、限られたご予算の中でも色々選べる楽しさに気づいていただいて、そこで出会った自分のお気に入りを連れて帰る、そんなきっかけにしていただければと思います。
ハオルチアはブームが過ぎ去ったからすべてプチプラで買えるなんてことはもちろんありません。昔からある高級品種は相変わらずお高いですし、注目される新品種もあります。これらも待てば価格は落ち着いてくるかも知れませんが、きっとまた新しい高級種が出てくるに違いありません。
今回のコラムの目的は「プチプライスのハオルチアでもこんなに多様でかっこよくてかわいいコが手に入れられるんだ」と知っていただくことで、ハオルチアの世界に入っていくきっかけになればというものです。
市場価格が下がってくると、自分が持っている多肉植物の価値が下がってしまうようで嘆く方もいらっしゃいますしその気持ちもよくわかりますが、価格が下がることはより多くの新しい愛好家のたまごさんたちが入ってくるきっかけになります。新しい愛好家のたまごさんたちにより魅力的なたくさんの品種を提案することで、より早くディープに沼にハマって行っていただければ、図鑑編集者としてはそれに勝る喜びはありません。