PUKUBOOKには「多肉植物ランキング」というコーナーがあって、カンタン人気の定番種ランキングというものもありますが、これらのランキングはすべて自動集計されていることもあり、僕個人の見解とはちょっとズレているところがあります。それがまた面白いんですが。
今日はそのランキングがどのくらいズレているかを確認するために、いやむしろ対抗するために、僕が個人的に本気でおすすめしたい普及種をランキングでご紹介したいと思います。
定番種というのはかわいくて人気がある だけでなく 丈夫でよく増えるからこそ「定番入り」しているわけですが、そのかわいさと丈夫さを兼ね備え、単体でも飛び抜けて美人さんの「トップ・オブ・ザ・定番」として紹介したい方々がこちらです。
1位に選ばせていただいたのは、モケモケの立ち葉がうさぎの耳っぽくて人気がある「月兎耳(ツキトジ)」。なぜ?かわいいのはわかるけど、さほど目立つコでもないですよね?と思われる方は、きっと立派に生長した姿を見たことないのでは?
ツキトジは木立性で、1~2年すると30cmくらいまで立ち上がり、枝分かれして、たくさんのもけもけ葉っぱを茂らせます。その枝ぶりがくねくねしていてとても個性的であり、さらにその葉っぱが光を受けてキラキラと輝く姿が本当に「美しい」のひとこと。いつも多肉ガーデンに出るたびに目を奪われます。
売り場ではさほど目立たず、人気も他のコに押されがちだからこそ、あえて猛烈プッシュしたいところです。
2位は「ベビーサンローズ」。ポトスのようなみずみずしい斑入りの葉っぱに、キラキラ輝くピンクの花を咲かせてくれます。ツルを伸ばして広がっていくタイプで地植えで放ったらかしでもモリモリと増えていき、伸びすぎても剪定すればまた生えてくるし、カットした穂先も挿しておけば根付くし、1株から無限に増殖できるのは普及種ならでは。見た目のかわいさもさることながら、名前も超かわいいのも大事なおすすめポイントです。
3位は……はいはい。そうです。こういうボリュームのあるグランドカバータイプが好きなんです。こちらもいろんな家の玄関先にポンポンと元気よく葉っぱを伸ばしている姿をよく見かけます。コイン状のカラフルな葉っぱと、ショッキングピンクのポンポンの花がかわいくてしょうがない。品種改良も盛んでいろんなカラバリがあるのもお楽しみポイントです。
あえての変化球はコチレドンの福娘。コチレドンと言えば熊童子など他にも有名なコはいるんですが、あえて福娘を取り上げるのはむちゃくちゃ丈夫だから。カットした穂先はそのまま何もしなくても1年くらい生きていけるくらい生命力が強いコです。それにこの白い立ち葉が美しいですよね。あまり知られていないので個人的なプッシュです。普及種…というほど普及してなくて手に入りにくいのが難点ですが。
なぜ5位?! そうなんです。人気はホントにトップクラスで自信を持っておすすめしたいところなのですが、丈夫で育てやすいかというと少し環境を選ぶのでオススメ度合いは控えめにさせていただきました。ただし人気は間違いなくトップクラス。DAISOの100円多肉としても見かけることがありますが即完売は必至。SNSでも戦勝報告がちょくちょく上がっています。見かけたらまずゲットして、トライしてみてください。
今度は普及種たらしめる 丈夫でよく増える に着目したランキング。地植えで放ったらかしでもめったに枯れずにぐんぐん増えます。あちこちでよく見かけます。
普及率日本No.1クラスの定番中の定番種、それが朧月(おぼろづき)。街の花壇に植わっているロゼット系多肉はこのコを置いて他にないと断言できます。それだけ「地植えの放ったらかしで大丈夫」ってこと。
「金のなる木」としてバブル以前に大流行して、今もその頃の名残で玄関先に巨大な株がそびえ立っていたりするくらい、こちらも普及率No.1クラスの多肉植物です。とにかく丈夫で、放ったらかしでも元気この上ありません。
ただちょっと、そんなド定番はなぁ……というあなたには、ゴーラムやリップルジェイドを探してみることをおすすめします。このコたちは花月のバリエーションで、同じくらい強健ボディを誇りつつも、あまり見慣れない個性的なフォルムで目を楽しませてくれます。
これも丈夫さにかけてはピカイチ。伸びた枝をカットしてコンクリテラスの上に放置しておいたものが、根っこを伸ばしているわけでもないのに1年以上何事もなかったように元気に暮らしていたことがあります(その後、さすがに植えてあげました)。「根っこがなくても生きていける」なんてまるでエアプランツ。
この火祭りにもバリエーションがあって、斑入りの「光」はストライプ柄で見た目も爽やか。冬はピンクに染まるかわいらしさでおすすめしたいコです。
丈夫さで言えばやはりクラッスラ。定番のコイツらをおすすめしておきます。我が家はなかなか過酷な環境でエケベリアたちがことごとく星になっていく中、クラッスラたちはカリッカリになりながらも生き抜いて、また次のシーズンに平然と新芽を伸ばし、着々と増え続けています。
このデザートローズは丈夫さや手に入りやすさだけでなく、冬に真っ赤に染まる姿が美しく、サイズも50cmくらいまで大きくなって見ごたえも十分。冬の寒さに弱くかなりダメージを負ったことがありますが、春にはまた新芽を出す生命力に溢れたコです(寒冷地では屋内が無難)。
今度は かわいさ に着目して、ロゼット系のコたちの中から、丈夫で育てやすいコをピックアップ。かなり個人的な趣味趣向の入ったオススメランキングです。
先がツンツンした小さい葉っぱを密にまとうフォルムがシンプルながらもかわいい!と個人的に好きなコです。あと名前がかわいい(コレ大事)。もちろんかわいい!好き!なだけでなく、グラプトの血統なので並のエケベリアより丈夫でよく増えるのも取り柄。ただグラプトらしく生長すると高さが出てくるのが好みの分かれるところです。気になる方は積極的にカットしてどんどん増やしましょう!
個人的に好きといえば、何を差し置いてもリラシナです。淡い紫色のカラーと、先が尖ったカッチリとしたフォルムがなんとも凛々しく美しいコ。
その人気はハイブリッドによく登場することからも伺えます。勝手に「リラシナ系」と読んでいますが、そのどれもが、リラシナらしいかっちりしたフォルムか、その淡い紫色を受け継いでいてらしさを感じます。オリオンなんて何代目かでリラシナの血は少ししか入っていないはずですが、並べてみるとそれっぽさを感じますよね。
丈夫なエケベリアと言えば七福神。古くから普及しているエケベリアの代表的な種で(園芸店で単に「エケベリア」の名前で売ってることもあります)、ときどき庭先や玄関先に地植えされているのを見かけます。まさに「地植えで放ったらかしでも大丈夫」が証明されている品種。ただし環境は選びます。あまり日当たりが強すぎたり、夏の水はけが悪い環境では育たないことがあります。
ホームセンターでもよく見かける普及種で売り場ではあまり目立ちませんが、エケベリアの女王と言われる「カンテ」の愛娘であり、その美しい淡いパープルカラーとホワイトベールをしっかり受け継いでいて生長すると眼を見張る美しい姿になります。高さが出てくるのは好みが分かれるところ。
こちらはカナリー諸島の固有種「アエオニウム」の園芸品種。夏はオーソドックスなツートンカラーですが、冬に赤く色づくとかわいさ全開。これでポコポコ群生するのでかわいいしかない。夏の暑さに弱くて縮んでしまうこともありますが(休眠しているとも言う)、それでも何度も夏を乗り越えてくれるたくましいコです。
ひとことで「ランキング」といっても、その選定基準によっていろんなランキングが生まれます。特に「みんなの人気を集計したのか(客観)」「自分の好みやオススメ度合いを反映したのか(主観)」でかなり変わってきます。毎日更新している多肉植物ランキングは完全に「客観」なので、コラム記事ではゴリゴリに「主観」でならべてみましたがいかがでしょうか? わたしもそう思う! いやいやこのコを差し置いて何言ってんの?などなど、ご意見、ツッコミいただけますと幸いです。